緯度を測った男たち

-18世紀、世界初の国際科学遠征隊の記録-
著:ニコラス・クレーン
訳:上京 恵
原書房(2022/05)
ISBN:9784562071814

長さの単位は地球が基準となっている。物理学的に光速度のように宇宙普遍なモノでは無いことから、何らかの方法で(取り敢えず)定義する必要があった。
フランス革命の熱気で世界の統一基準を策定する機運の高まりの一環で決定されたメートル原器1m長から(逆に)光速度が、現在示されている。
ドゥランブルとメシェンの測量の結果、1800年に「1m」が定義された、ことは
2007.08/07に、「万物の尺度を求めて」の書評で記している。

本書は、それ以前に地球の外形の形態について、
ニュートンが唱えた「扁平楕円体」
デカルトが唱えた「偏長楕円体」
を実測・決定するために、1735年から1743年まで、南米で苦闘したフランス人の物語。

筆者は、南米旅行の経験はあるものの(新型コロナの影響下)本書の資料は殆ど書籍・雑誌・ネットから得たと述べている。

測量隊の一員:ラ・コンダミールが、エクアドルの赤道:緯度0度に到着を記念して石碑を建てた(p61)
とある。残念乍ら、グーグルストリートビューでそれをアップしている人は居ないようだ。

悪天候で測量が滞る中、天然ゴムやマラリアの特効薬を欧州に紹介する功績(p165)
もあったが、
奇妙な装置を持って荒涼たる山の高みへと何度も登る人々の行動(p167)は、金銀鉱脈秘密調査疑惑を持たれてしまい、貴重なデータを記した手帳を盗難される等の人的被害にもあった。

結果的に「地球は扁平楕円体」であることは証明できたが、フランス人測量隊の面々のアクの強さが逆に足を引っ張った傾向にあることを伺わせるのは、著者が英国人のためもあるかも・・・

燃料給油

いつものセルフ店「コーナンフリート・ルート4越谷SS」。
積算走行:5469km、今回走行336.9km
航続可能距離:-km
給油:23.29L
積算アイドリングストップ節約燃料:221226mL
積算アイドリングストップ時間:49:10:01
燃費:14.5km/L(表示:15.0km/L)
今回単価:162円/L・・・前回から9円高
3,773円

スパイス戦争

著:ジャイルズ・ミルトン
訳:松浦 伶
ちくま学芸文庫(2022/04)
ISBN:9784480511133
日本の戦国時代、東南アジアのバンダ諸島特にルン島特産の香辛料ナツメグに対してオランダとイギリスが凄惨な争いを繰り広げた。
本書は、その争いの最中にイギリス東インド会社ナサニエル・コートホープが、1609年に東インド会社に採用されて、バンダ諸島のルン島に趣き、1616年に現地住民と譲渡契約を取り交わした後の戦いでオランダの掌中に落ちるが、ブレダ条約でアメリカ・マンハッタン島と交換された・・・という経緯が、スパイスの取り合いを契機に為されたことを物語る本。

1494年にスペインとポルトガル間で取り交わした「トルデシリャス条約」だが、時の法王アレクサンデル6世が定めた“ヴェルデ岬諸島の西数百リーグ”の線、についてはポルトガルがこっそり西に数百マイル動かし(p43)
た。とあるが、これは、
線をさらに西に移動し、ポルトガルカーボベルデ諸島の西370リーグの子午線とし(ウィキペディア)
の記載とは異なる。

そもそも、正確な子午線の位置決定ができないその頃、しかも海上での線引きを試みるという無謀な取り決めであった、と思う。

国立西洋美術館

ひょんなことから国立西洋美術館で開催中の企画展示「自然と人間のダイアローグ」展の招待券を頂いたので、出向いた。
1年半間ほど建物補修のため閉館していたようだ。

開館当時のレイアウトに復することを目的としているようだ。
以前家族連れで来たときは、ロダンの「地獄の門」の前のベンチでお弁当を広げたことを覚えている。
空間的には広々とした感がある。

企画展示から、
松方コレクション:クロード・モネの「舟遊び」
フォルクヴァング美術館:ゲルハルト・リヒターの「雲」

常設展から、

オディロン・ルドン「至る所に瞳が燃えさかる」

なんと写真撮影を失念したが、
アドルフ・ピエール・ルルーの「鵞鳥を連れた子供たち」
は、賑やかな鵞鳥の鳴き声が聞こえてくるようだった。


(誤記訂正・・・×:近代、〇:西洋)

ル・マン24時間

今年も、その時がやってきた。
HYPERCARは、トヨタGAZOO RACINGの独壇場。
GAZOO RACINGの実況映像は、データが無く面白みに欠けた。

YouYube実況で面白いのは、出場車数の関係で順位争いが多いLMP2クラスだった。
AFコルセ83号車に幅寄せされたコルベット・レーシング64号車は、可哀そう。

24H du Mans 2022 LIVE !は、実況放送音声が無く、良い・・・と思っていたが、
“この動画は、ACO から著作権の申し立てがあったため削除されました”
ということで、削除されてしまったのが残念。

羽田圭介、クルマを買う。

著:羽田 圭介
集英社(2019/07)
ISBN:9784087808759
マスコミ出演で有名な芥川賞作家が、都内でクルマを購入するまでをドキュメンタリ風に週刊誌に連載した内容の単行本。
イメージ的に持っていたクルマへの期待が、各種のクルマに試乗することで具体化し、自身が求めていた仕様のクルマ:BMW320Dを入手するまでのレポート。
予算は、流石の、1500万円。
ポルシェからタントカスタムまで、チャリ・バス・鉄道等自力で販売店訪問し試乗・見積・評価する。
売店にチャリで行っても差別された様子は無いのは、流石。
一般人がクルマを買うときは、販売店訪問約1.7回で決定しているとのこと(p164)
確かに一般人の場合、予算的に筆者の様に高級・高額車は最初から問題外であろうから、ある程度車種は絞られた状態が前提だろうが、相見積を取ったりすれば、4回以上には粘る事は必要と思って居ていたので、弊方にとっても以外な印象。

同著者の「成功者K」では、マイバッハS600(2600万円)をキャッシュで買った(p283)とあるが、作家の私小説的な表現が面白い。