漏水

通勤途上、有る時期から道端の草むらが湿っぽいことを以前から気づいていた。
ある日、「これは漏水では、ないか?」と思い至った。
ウェブ検索して、水道企業団の代表番号に電話した。
『あのー、路上漏水だと思うんですが。』
出た人は、この道40年か・・と感じられるようなおばさん風の人。
『はい。ええ。代わります。』
代わった人は、この道20年か・・と感じられるようなおじさん風の人。
『あなたの、住所は、氏名は、電話番号は、』
と矢継ぎ早に尋ねられ、
『漏水の住所は?』とのたまう。
え‘−そんなの知るわけねえジャン。
『よく分かりませんが、文教大学のグラウンドの北側の道で・・・』
『はっきりしないと困るんですが!』
なんで、おこられなきゃなんないんだよう。
『すみません、学生用アパートの対面です。』
『とりあえず、いいでしょう。』
『はっきりしなくて、ご免なさい。』
 
2〜3時間後、再び電話がかかってきた。
この道10年か・・と感じられるようなおにいさん風の人。
『あー、現地付近に来た者ですが・・・』
『はい、ご苦労さまです・』
『無いんですがねぇー』
『今、どちらにいらっしゃいますか?』
『グランドの角。』
『そこから、東に向かって歩いて頂けますか?』
『ありませんよぉ・・・』
『もう少し。』
『全然、見当たりませんねぇ。』
『もうちょと。』
『本当ですかぁ。・・・あっ。』
電話が切れた。
もうかかって来なかった。
翌日通りかかった時、確認すると、少しく盛り土されていた。
漏水は、止まっていた。
今度、路上漏水を見かけたとき、どうするだろうか・・・