行列への割り込み

といっても、大阪万博だ。
学生時代だった。
高槻の親類(イクさんち)に転がり込んで、夏休みを利用し、1週間ほど通った。
ある日、月の石を見るんだ、と決めた。
アメリカ館の目玉で、行列が出来数時間待ちになるので、朝1番で走り込んで見よう。と決めた。
ところが、出遅れて、開場前に間に合わず焦った。
ゲートを通過し、走った。が、アメリカ館用の行列ルートとは違っていたようだった。
左を見ると、本来の入場行列ができかかっていた。
まずい。
また、ゲート付近まで戻ると、確実に1時間待ちだ。
とっさに、行列に対してニコニコ手を振って、さも連れがその中にいる、かのようによそおって、走り込んだ。
体のいい割り込みですな。
まだ、行列状態が確立する前だったので、縄をくぐり、そしらぬ顔で、入り込む事ができた。
アメリカ館にほどなく入ることができ、月の石を拝見し、写真を撮った。
照明がスポットで当たり、石は真っ白に調子が飛んで写っていた。
 
その後、ワシントンのスミソニアン博物館で、また月の石を見る機会があった。
まったくスムーズに、問題なく見られた。
万博の割り込みのことをほろ苦く思い出した。
ここでは、触ることさえできた。