無人島に生きる十六人

パールアンドハームズ礁(Pearl and Hermes Reef)近くの無人島に漂着したおじさんの痛快奮闘記、である。
新潮文庫で出版され、そこには「冒険実話」と紹介されていたが、残念乍、フィクションと思う。
話中の重要な位置を占める無人島そのものが捜せないのである。
記述中の、パール・エンド・ハーミーズ礁近くの四千坪の「本部島」、さらにその倍の「宝島」が、小生の検索結果では、見当たらない。
そうすると、文中の内容(草ブドウ?)もうまくお話ができ過ぎていることに気づく。
原作は明治時代であるが、海の男の痛快空想冒険譚、として読むべきであろう。
本書評入力前に、以前のものを(はてな内で)検索したが、当該の点を指摘している例は無かった。
明治時代に、「パール・エンド・ハーミーズ礁」といえば、月の裏側の感覚で誰も裏取りはできなかった、と思う。
現代、ネット検索で地球上の津々浦々は、一般人でもアクセスできるのである。
皆さん、与えられたものを丸呑みしてはいけませんよ、「実話」となぜ書かれるのかを、日ごろから十分自分で吟味しなければ、あっというまに何も言えない時代になりますよ。
なに、おまえは重箱の隅をほじくり過ぎだって?