楽しき熱帯

楽しき熱帯
奥本 大三郎
1995年7月10日
ISBN4-08-774149-4
病床に縛りつけられた少年が、図鑑を耽読し、昆虫の名前を覚える記述は、北杜夫の随筆にも共通して見られる。
吸収力が高い時期に入力した情報は、一生ものなのであろう。
題名は、もちろんレヴィ=ストロースの「悲しき熱帯」から来ている。
珍種の蝶に欣喜雀躍する筆者であるが、本来焼き畑にされるべき土地の場合でも、現金に化ける蝶が捕れることで、ジャングルとして残される場合もあることを紹介する。
さらに、熱帯の土地が開発され尽くされて表土が無くなってしまうと、二度と元通りにならないことも触れられている。
現代、アマゾンを語る本書は、文明の進歩の方向性において奥深い示唆を与えてくれる。