アフリカを歩く

―フィールドノートの余白に
加納隆至/編著 黒田末寿/編著 橋本千絵/編著
以文社 (2002/10/10)
ISBN-10: 4753102238
ISBN-13: 978-4753102235
TICADアフリカ開発会議)協賛という訳ではない。が、ボノボ研究の嚆矢となった方々の実際の体験談である。
所謂旅行記ではない、研究者の方々のそれぞれの体験と思いが語られている。
中でも、森明雄氏の内容(P239、下記)には、同感を覚える。
学習というものはすべて再発見の過程だと思う。モデルの完全なコピーが作られるのではないと思っている。
技術や知識が分かったという喜びは、本人がやってみて、なるほどと再発見・理解する時に生まれるのである。模倣は一つのタイプしか生じないが、学習は再発見の過程であり一つの過程に複数の理解が生じるものと思っている。
 
また、アフリカ関連のTV番組放送時にBGMで流されることが多い「トーキングドラム」。これが伝達することができる情報について、P380に、
真夜中の太鼓に村中から音が消えたと思った次の瞬間、慟哭が津波のように村を覆ったこともあった。ある村人の臨終が告げられたのだった。
とある。
さて、オードリ・ヘップバーンの映画「尼僧物語」にも、新任の尼さん(本人)が乗船している川面に太鼓の音が流れてきて、同乗者が彼女を見て笑う場面がある。
「白人の若い女が来た。子供が産める。」という内容が一斉伝達されたことを音を判別できる耳をもったガイドが紹介する次第であったことを思い出した。