ザ・フィフティーズ

著:デイヴィッド・ハルバースタム
訳:金子 宣子
ISBN:4-10-535402-7(9784102901694)他
米国の50年代、除隊した若者は都会のアパートから、新家庭を持つタイミングで郊外の一戸建てを選択し、ニューヨーク郊外レヴィットタウンのような、郊外住宅地が形成されたのを一例とするように、生活の内容が変わった。
ディスカウントショップ、マクドナルド、ホリデーイン等の物質生活。
キンゼー・レポート、サンガー夫人、ピル解禁等の性意識。
トルーマン、ダレス、ニクソン、アイク、ケネディの政治家。
ルシール・ボール、エルヴィスとジェームス・ディーンの芸能人。
巨大なGMの興隆と一時の危機。
黒人公民権活動。
まだまだとても記しきれない項目、それぞれ読ませる。
現代の米国を理解するために欠かせない、必読書。
思えば、米国の50年代の動きが、同じように時差を持って日本にも押し寄せてきたようにも思う。
日本にも郊外住宅地が高度成長期に増加した。もっとも、住宅の平均的広さの彼我の差は大きいが・・・
都会で職を得ることは、必然的に地方から離れるということになる。
小生も地方の田舎を出て、核家族を構成したことになるのだが、なぜそのような選択をしたかのある面を著者が説明してくれたような同感の意識をもつところがあった。
初版は1997年6月。その頃読みたかった。
特に、最近破綻したGMが二回に渡って取り上げられているところが興味深い。
その繁栄と危機の物語として、既にその頃からクルマには何の興味も無い経理畑の経営者が短期的な利益のみを追っているとある。
これは、現代を予言していたとしか思えない。