―ヘリコプター全史-
著:ジェイムズ・R・チャイルズ
訳:伏見 威蕃
早川書房 (2009/01/25 出版)
ISBN: 9784152090003
著者は、本書を上梓にあたり、実際にヘリコプター操縦を試したり、高名なヘリコプターパイロットにインタビューした結果、たいへん中身があるエピソードが満載となった。
そもそも、古代からある空中浮揚マシンの構想から、実現にまでの数々の苦難と技術的ブレイクスルーを描いて余り無い。
実用化される前は、一家に一ヘリ、のような夢物語が描かれていたようだが、実際には大変金がかかるようで、それは「ヘリコプターは、何の力で飛ぶか。金の力で飛ぶ。」
というなぞなぞに現れている。
開発初期の数々の失敗の記録は、よくここまで・・・と思わせる。
ベルUH-1「ヒューイ」が数多く投入されたヴェトナム戦争の興味深いエピソードが多く紹介されている。
最近では、「ブラックホークダウン」救出の実際のパイロットや、「ターミネータ2」で立体交差下をくぐったシーンはチャット・タンバーロというパイロットの実演であることが語られる。(p327)
彼は、ホバリングしているヘリコプタに乗り込まれたT-1000から「降りろ」と言われたパイロット役を演じている(p329)
ヘリコプターからの眺めは、さながら、神のそれでもあるようだ。