ドーキンスvs-グールド

−適応へのサバイバルゲーム-
著:キム・ステルレルニー
訳:狩野 秀之
ちくま学芸文庫
筑摩書房 (2004/10/10 出版)
ISBN: 9784480088789
リチャード・ドーキンスは、生物の行動パターンやありようを「利己的な遺伝子」によって説明し、適応は遺伝子の淘汰であると考えた。
一方、スティーヴン・J・グールドは、古生物学者として大量絶滅に可能性を見いだし、進化は偶然に助けられたとして「断続平衡説」を説く。
共に、ダーウィンの進化論は全く正しいと説く人物である(あった)。
が、その二人の進化の過程に対する考え方に相違があり、それぞれの著書で、お互いに持論を擁護し、相手に議論を吹きかける内容がある。
門外漢なので、それぞれの著書を別々に読んだだけでは、いまいち理解できなかったが、
オーストラリアの大学教授が著した本書は、それぞれの主張をまとめて、解説する。
ドーキンスは、無神論者で、神を否定する。
グールドは、科学と神とは、別々の存在で、共存は可能と説く。
ドーキンスは、進化をミクロ的に「遺伝子の乗り物」として表現し、
グールドは、進化を数億年単位のマクロ的な観点から見る。
カンブリア紀の「生命進化大爆発」についても、双方の見方は異なる。
然しながら、基本的には両人とも「創造論者」とは協力して対決しつつ、
「自然界の驚異に魅了される喜び、そしてそのような驚異こそ、まさしく純粋に自然科学的な説明に値する熱い確信を含めて、共通するところも多かった。」(p186)
という言葉はさすがである。