江戸・東京を造った人々

〈1〉都市のプランナーたち
ちくま学芸文庫
『東京人』編集室【編】
筑摩書房 (2003/08/06 出版)
ISBN: 9784480087874
この本は、言わば「読むブラタモリ」である。
江戸開闢に関わる江戸氏から、現代に至る基盤整備事業を、各項目に関係した人々を取り上げて紹介している。
が、それらは現代の我々の住む「東京」の足元にさほど意識されない状態になっている。
現在の東京の状態は、過去のさまざまに手を入れられてきた結果であるということを再認識させられた。
江戸の礎を築いた徳川家康は、江戸城入城以来、都市基盤整備に心血を注いだ。
本郷台地を開削した掘割や、両国橋架橋のいきさつ、玉川上水の下りは、相当する放送を思い起こさせるに十分であった。
明治時代以降の都市計画は、挫折の連続であった。反対したのは、卑近な損得勘定を得意とする有象無象の輩で、悪貨は良貨を駆逐するそのものを見るようであった。
東京タワーの項では、経済面での造営者が紹介されていたが、その美しい姿を創造した内藤多仲にも設計者として触れるべきであったと思う。