生と死の自然史

―進化を統べる酸素-
著:ニック・レーン
訳:遠藤 圭子
監訳:西田 睦
東海大学出版会(2006/03発売)
ISBN:9784486016571
クリストファー・ロイド著の「137億年の物語」で紹介されていた本。
酸素をキーワードに、地球上の環境の変化と生物の進化及び抗酸化物の仕組みを説く。
酸素なしには地球上の生物は海の中のねばねばする生き物以上には決してならなかったろう。(p506)
ヒトの老化の主原因はフリー・ラジカルであることは既に知られている。
それを食い止めると称して各種の品物が販売されているが、経口食品で体内で抗酸化作用をおこなうものはない。と喝破する。
「鶏が先か、卵が先か」という無限後退の命題は有名である。
著者は、「卵が先」と言う。
最初の鶏は、鶏ではない鳥が産んだ卵から孵化しなければならなかったこと(p468〜9)
だからだ。
 
本書前半、二重否定構文の和訳のわかりづらさに悩まされた。
「フリー・ラジカルが直ちに反応するわけではないことを示している」(p167)
は、
「フリー・ラジカルが直ちに反応しないことを示している」
にした方が、ずっと分かりやすい。