夜間飛行

「星の王子様」の著者として有名だが、サン=テグジュペリは、こちらの方で先に世に出た。
航空機を使用するビジネスの発展の一環として、定期的な航空郵便輸送のためには、昼間のみならず夜間にも飛行することが必要となった。
当時は、インフラが整備されていないので、飛行士個人の力量によるところが大きい。
飛行士として文筆力に優れていた著者は、滞空時にいろいろと考えることが多かったのだろう。
山脈越え時に嵐に遭遇するペルラン、地上勤務のリヴィエール、もう一人の主人公ファビアンの描写は、饒舌ではないがプロしか吐けない言葉である。
ラディゲ、コレット、モーリヤック等フランス人はそのような系統のものしか書けないかと思っていたら、ガツンとハードボイルドのこぶしを打ち込まれたような気がする。