エデンを遠く離れて

著:池澤 夏樹
出版社: 朝日新聞 (1994/07)
ISBN:9784022563002
元は、マリ・クレールに掲載された随筆集。
筆者は理系思考の持ち主で、朝日新聞夕刊のコラムにも寸鉄人を刺すような文章を寄せている。
ワープロ操作中にFD内の文書を別文書で上書きしたエピソードにはつまされる。
上書きに気づいたばかりであれば、FAT及び数セクタ分の書き換えで救済されると思われるのだが、当時では絶望的な気分になったのもうなずかされる。
現在では、PCのOSがその時代からは"やや"進歩しているのと記憶媒体の大容量化(=冗長化)により、いまではよほどのことがないと記録内容が一気に失われることは少なくなった。
その項目では、人間の所業:ミスをする、ことに関して実に予言的で奥深い内容が記されている。それは図らずも2011年に公に開示されることになった。
 
一点だけ、気になった箇所。
p135、8〜9行 リアルタイムでシュミレートする
文庫化でも訂正されていなかったのが惜しい。