フンボルト

―地球学の開祖-
著:ダグラス・ボッティング
訳:西川 治+前田 伸人
東洋書林(2008/10発売)
ISBN:9784887217553
フンボルト海流」で有名なアレキサンダー・フォン・フンボルトは、近代地理学の礎を築いたプロイセン(ドイツ)人。
本書は、その彼の伝記。
鉱山技師として出発したが、自然科学に目覚め、スペイン国王から新大陸アメリカ探検許可を得た。
その南北アメリカ紀行は1799年〜1804年の間に成され、南米オリノコ川アマゾン川を結ぶカシキアレ川を欧州に紹介した。
そのときに収集した標本と著書「新大陸赤道地方紀行」で当時の著名人となった。
奴隷制度反対や宗教に与しない考え方は、それらに反発した有象無象達が歴史の彼方に消え去っても、普遍的な価値を今でも持つ。
世界的な探検といえば、
ダーウィン1831年〜1836年のビーグル号航海(進化論の種まき)
ウォレス&ベイツ:1848年〜1852年(カシキアーレ川の確認)
が有名だが、それらの動機は、フンボルト旅行記に触発されている。
時期的に啓蒙主義のハシリとして南米に赴いたのがフンボルトで、旬の果実を得たのがダーウィンとなるであろうと思われる。