コペルニクスの仕掛人

―中世を終わらせた男-
著:デニス・ダニエルソン
訳:田中 靖夫
東洋書林(2008/07発売)
ISBN:9784887217485
世に「コペルニクス的転回」という言葉がある。
通常の生活では、天動説としか思えないように、太陽が人間界を一日一回回っているとしか感じられないが、実は地球は太陽の周りを一年間をもって巡り、一日があるのは地球の自転によるものである。
身近な感覚が如何に現実と乖離しているか。その現実を如何にして見出したのか。
その見出した人物コペルニクスは、年少のゲオルク・ヨアヒム・レティクスに「見出された」。
レティクスは、老齢のコペルニクスから「天球の回転について」の手稿を託されニュルンベルクのペトレイウス印刷工房で印刷したものが、世に出た。
「回転について」は、大冊かつ当時の常識を覆すものであった内容であることから、レティクスは、冊子「第一考察」を露払いとして出版している。
通常、白楽は年長者の場合が多いが、年少者であった場合が珍しい。
その年少者も成年後人間くさい人生を送り、年老いた際に、書き溜めた三角法数表公刊に、やはり同様の年少者の助けを借りている。
「コペ展」は、大変興味深い歴史の綾が成したもの・・・ということを思い起こさせる本。