心の仕組み

―人間関係にどう関わるか-
著:スティーブン・ピンカー
訳:椋田 直子・山下 篤子
ISBN:4-14-001970-0
NHKブックス
TEDのプレゼンテーションで著者を知り、読み始めた。
人間は、なぜそのような考えと行動をするのかを、「進化心理学」という観点から解説した本。
人間が人間となるまでに経るまでには、狩猟採集生活が大部分を占める。
現代の「なんでもある」生活は、そのことをややもすると忘れている。
しかし、過去の生活で直面したさまざまな問題・課題を解決するなかで、自然淘汰によって心は「設計」されてきた。
普段は意識しない自然な考え方を見直し、なぜ、そのようにするのか・・・という理由を解明して下さる。
中巻、p227〜228にある「アモク・シンドローム」の箇所で、
アモクになった人間はあきらかに正気を失って、周囲の状況が目に入らず、説得も脅しも届かないオートマトンとなる。しかし彼の凶悪な行動は、長い失意のあと、耐えがたい状況から自分を解放する手段として慎重に計画されたものである。アモクの状態はぞっとするほど認知的である。
(中略)
私の人生は耐えがたい侮辱でしかないものになってしまった。だからもう、なんの意味もない命のほかに失うものはないので、自分の命を人の命と交換する。交換は私のためにするのだから、一人を殺すだけではなく、大勢を殺す。
とある。
これは、まるで、ジャーマンウィングス9525便のアンドレアス・ルビッツ副操縦士の当時の心理状態の描写ではないか。、