愛を科学で測った男

―異端の心理学者ハリー・ハーロウとサル実験の真実−
著:デボラ・ブラム
訳:/藤澤 隆史/藤澤 玲子
白揚社(2014/07発売)
ISBN:9784826901758
サルを用いた動物実験から人間の心理を推し量る手法を開発した心理学者の伝記。
20世紀初頭の乳幼児の扱いは、無機的なもので、
「『それ』が泣いても放っておきなさい。そうすればすぐに、揺すったりあやしてもらわなくても眠ることを覚えるだろう」。(p62)
ということを唱える説が大勢を占めていた。
心理学研究をラットを使ったものからサルを観察するものに変化させ、赤ちゃんには何が必要なものかについての学説を転向させた。
彼は心理学者であったが、育児方法について突如さまざまな相談が寄せられた中に、
「トイレ・トレーニングをするにはさまざまな方法がありますが、ひとつだけ共通していることがあります。それは、どれも役に立たないということです」。(p232)
とある。
二つの言葉
「すべての親は赤ちゃんから愛されることが保障されている」。
「赤ちゃんがそのお返しに愛されるという保障はまったくない」。(271)
について、斎藤理玖くんのことを思うと、涙腺が刺激される。
 
p340の視覚的断崖テストについては、
https://www.youtube.com/watch?v=LQZLpyISPWk
に実例がある。
また、黒色を基調にした装丁については、もう少し考慮の余地がなかったのかと思う。