電気柵に対する誤解

まず、西伊豆感電事故でお亡くなりになった方々にお悔やみを申し上げる。
電気柵に触れての感電死だが、当初から、マスコミの取り上げ方に正確さが足らないものが見受けられる。
取り敢えず今参照できるものを挙げると、
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015072502000244.html
で、
設置者は家庭用電源を使いながら、電流を制御する専用装置を使っていない。プラグを抜かない限り、柵は絶えまなく電流が流れ続ける危険な状態。
とあるが、
設置者は家庭用電源を使いながら、電流を制御する専用装置を使っていない。プラグを抜かない限り、柵は絶えまなく電圧が印加され続ける危険な状態。
が正しい。
 
また、
http://www.at-s.com/news/detail/1174216680.html
では、
下田署は、柵を設置した地元の男性が、国から使用を義務付けられた専用の装置を使わずに自己流の電気柵を作り、高圧電流を流したことで被害が拡大したとみている。
では、
下田署は、柵を設置した地元の男性が、国から使用を義務付けられた専用の装置を使わずに自己流の電気柵を作り、高圧を印加したことで被害が拡大したとみている。
であろう。
 
最初の記事では、電気柵の構造を理解していない可能性がある。
電気柵は2本の導線から構成されるが通常は開放端となっているので電流は流れない。
鹿等の駆除対象動物が導線間に触れることで電流が流れてショックを感じさせることで、柵内部を保護しているのだ。
通常は電流が流れないので、電気代を気にする必要はない。
 
次の記事は、「高圧電流」という言葉に注意が必要だ。
既に述べたように、「高圧」の「電流」を流すと半端ない電気代が発生する。
「電圧」そのものは商用のものが、家庭の壁にメス型コネクタ形状をしてあまねく存在している。
なにもしない状態ではなんというものでもない。
しかし、その電極間を低抵抗のもので導通させると大きな「電流」が流れて高額の電気料金が発生する状態になる。
その男性は、通常「高圧電流」を流してはいなかったのではないか、電気代が高くなるから・・・・
「高圧を印加」することだけだは、電気メータは回らない。
「高圧電流」は、送電鉄塔間の導線に存在するが、電力会社内部のものなので、消費者の電気代とは直接の関係はない。
正確にものごとを記載して誤解を与えないようにすることが肝要である。