乾燥標本収蔵1号室

―大英自然史博物館 迷宮への招待-
著:リチャード・フォーティ
訳:渡辺政隆
NHK出版(2011/04発売)
ISBN:9784140814734
いままで、著者の本は4冊紹介している。
それらどの本も大変興味深い。
生きた化石
・生命40億年全史
・地球46億年全史
三葉虫の謎
さて、今度は、勤務先の大英自然史博物館の人物伝を切り口に、博物館と人類との関係から自然に対する窓を広げて下さる本。
在任中一遍の論文を発表しなかった学者とか人間離れした学者とか、現代ではなかなか得られない学求者がぞろぞろ紹介される。
研究はブレないことが必要で、功名心で発表された論文も大英自然史博物館の自浄機能で正されていく。
一例が、「ピルトダウン人」で、それを発見した本人のチャールズ・ドーソンが仕込んだということが定説となっている。
p148に、
彼を記念する砂岩の碑は、かつては世界的に有名だった発掘現場に近いバーカム・マナーの地にまだ立っている。
とある。
 
別の本。
ピルトダウン−化石人類偽造事件-
著:フランク・スペンサー
訳:山口敏
みすず書房(1996年)
ISBN:4-622-04104-9 C1045
のp203では、
化石の大部分が発見され場所にはヨークシャー石でできた一本の石碑が風雨にさられて立っている。
とある。
現場を探して、ここか?と思える場所が下。

 
一点。
p245の、
喧々諤々(けんけんがくがく)は、誤用で、正しくは、
喧喧囂囂(けんけんごうごう)
侃侃諤諤(かんかんがくがく)
の(よく似た)二語である。
本書内ではそれらが混同されてできた(よく間違えられる)語となっている。
正確な推敲を望む。