3億円分の収入印紙

PHS基地局は、出力が低いことから、数多く設置する必要があった。
世の中に出現した新しい概念の無線局だったので、制度改正が間に合わず、れっきとした「無線局」という扱いで無線局免許申請をする必要があった。
ということで、1局あたり:5万円、の申請料が必要だった。
設置工事がイケイケどんどんの頃は、一回の申請で、6千局程度の申請をすることが多かった。
ということは、その回の申請で必要な申請手数料は、3億円程度になるということ。
申請数が纏まってくると、経理に対して、
「○月○日に申請をしたいので、△日に収入印紙購入手配を願います。」
と連絡を入れておき、当日経理部員と一緒に芝郵便局に出向き購入。
経理部員は、現金を持参せず、なにやら伝票一枚を窓口に提出。
印紙最高額面10万円が1シートに100枚あるので、1000万円/シート。
3億円となると、30枚。
それほどになると、やや重さを感じる。
経理部員と一緒に、封筒に収めたものを何気ない風を装って戻り、予て用意の別室に。
A4用紙を台紙として、水を含ませたタオルでシート裏面を濡らし、貼っていく。
申請書専用ファイル内で申請書本紙と合体させ、(予め手配していた)社長用車(プレジデント)で、申請局に持ち込む。
窓口では、手数料収納専門窓口があり、員数確認をして頂き、
「よろしいです。」
との言葉を頂いて、任務完了。