ネメシス騒動

―恐竜絶滅をめぐる物語と科学のあり方-
著:デイヴィッド・M. ラウプ
訳:渡辺 政隆
平河出版社 (1990/05)
ISBN: 978-4892031793
2018.06/15に紹介した「大絶滅」の6年前に上梓された本。
やはり、1980年に発表されたK-T境界説の発表を受けて、著者が過去の生物の絶滅の周期性を太陽の伴星に原因を仮定した説に対する科学者の反応、報道機関の(塩)対応が書かれている。
やはり、当時本ということで、K-T境界を引き起こしたクレータを生成した隕石が衝突した場所については、アイオワ州にある直径三十数kmのマンソン・クレータを挙げている。
ただし、時期は合致するが、その規模はイリジウム異常値を説明するために必要な大きさよりもはるかに小さい。(p305)
と述べている。
過去の地球上の統計的な平均としての種の寿命の推定値は、およそ100万年から1000万年で、何十億年という地球の歴史と比べるときわめて短いものでしかない(p61)ことを、本書で知った。