国家はなぜ衰退するのか

─権力・繁栄・貧困の起源-
著:ダロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソン
訳:鬼澤 忍
ISBN:9784152093844/9784150504656
ハヤカワ文庫
原書名:Why Nations Fail
著題は、「何故国家は間違うのか」の方が良いと思う。
原著発行は、2013年なので最新の状況は加味されていないが、言わんとする内容は普遍的で実例を多く取り入れていて、一気に読ませる。

・政治と経済の収奪的制度と包括的制度を区別すること:制度面から歴史を解釈
・世界のある地域で包括制度が生まれ、ほかの地域で生まれないのはなぜか:歴史がどのように国家制度の軌跡を形づくってきたか
下巻p285
という切り口で、貧しい国々が存在する理由を解き明かす。

一方、
自由な言論に支えられた民主政治と、自由で開放的な市場経済という制度セットこそが、創造的破壊を伴う経済成長の安定した継続を可能にする。下巻p343
と説く。

「今」を生きる我々は、「創造的破壊」はどのようなものでどのように対処すればよいのか分からないので、つい、保守的な対応を取り勝ちとなる。
一皮剥けた世界は、パラダイムシフトを乗り越えたところに開けている。