数学がいまの数学になるまで

著:Z.アーテシュテイン
訳:植野 義明 ほか
監修:落合 卓四郎
丸善出版(2018年03月)
ISBN:978-4-621-30168-5
数学の素養が無い人間にとって「数学の本」は難しい。
本書は、数学の歴史を、科学歴史を絡めることでまた違った角度から描写している。
この点で、2021.03/24の「図説 世界史を変えた数学」とは一味違っている。
中身は、理解できなかったところが多々ある。
特に、
p251の、「無視するには小さすぎる傷はない。」という命題(一部単純化)は、訳注で
論理規則によって「すべての傷は小さすぎ、かつ、無視できる。」と言い換えられる。とある。
二重否定の論理規則展開が分からない。論理的と言われる英語にグーグル変換し、それのグーグル和訳を繰り返してみた。
和:無視するには小さすぎる傷はない。
英:No scratches are too small to ignore.
和:無視できないほど小さい傷はありません。
英:There are no non-negligible scratches.←二重否定なので"no non-"を除去し、
英:There are negligible scratches.
和:無視できない傷はありません。
英:There are negligible scratches.
和:傷はごくわずかです。
やはり、分からない。

p187の「世論調査に必要な標本サイズ問題」
及び
p389の「モンティ・ホール問題」
は、ダニエル・カーネマンの「ファスト&スロー」の
・システム1

・システム2
の相克を説明する至上の例である。

下記は著者の思い違いであろう。
p81:ガリレオには、土星に衛星があるように見えた・・・ガリレオには土星に耳のようなものがあるように見えた(土星環はホイヘンスが初記述)
p115:ボルタは、化学変化によって静電気を作り出せることを示した・・・ボルタは、化学変化によって動電気を作り出せることを示した