疫病の世界史

上巻:黒死病ナポレオン戦争・顕微鏡
下巻:消耗病・植民地・グローバリゼーション
著:フランク・M・スノーデン
訳:桃井 緑美子・塩原 通緒
明石書店(2021.11)
ISBN:9784750352671/9784750352688
科学が発達し、細菌が顕微鏡下で確認できるまで、疫病の真の原因は、不明だった。
その時々の人々が自ら信じる治療法を施したが、殆ど無意味に疫病は流行し終息した。
ペスト、天然痘コレラなどの流行の実態と、ある英雄の見込み違いが招いた惨事、そして細菌の発見がもたらした劇的な転機を描く。

本書上巻では、ナポレオンのロシア遠征は何故失敗したのか?・・・について、
・往路:赤痢
・復路:発疹チフス
が猛威を振るった旨を説明する。
ウィキペディア1812年ロシア戦役」の項では、「疾病」という言葉は1回しか出てこないので、新たな観点からの指摘である。

近世に入り、細菌・ウイルス等が疾病の主原因であると判明した。
が、人類が撲滅したのは「天然痘」だけである。
何故か?
・特効薬を用いても皮相症状緩和による薬剤摂取の中止
・それによる特効薬に対する薬剤耐性の獲得
・誤った言説による治療の拒否
これらは、“人間の業”とも言えよう。