モラルの起源

―道徳、良心、利他行動はどのように進化したのか-
著:クリストファー・ボーム
訳:斉藤隆央
解説:長谷川眞理子
白揚社(2014.11)
ISBNコード:9784826901765
人の道に沿った「善い行い」は、往々にして、他人を助けて自分は死んでしまう・・・と言うような極端な行動に走ることがある。
ダーウィンの唱える「自然選択」の結果・・・生き延びない・・・という、一見矛盾した行動を何故人間は取ることがあるのか?
を筆者なりに分析した本。
著者は、類人猿の研究に長年携わった経験があり、類人猿のルールを分析し、かつ現代移動性狩猟採集民の行動も観察して、利己的な遺伝子要素も存続してきた理由を、
学習能力と自制力によりその傾向を表面的に打ち消すことができたため、完全に排除できなかった・・・と述べる。

本書では、過去の進化について主に述べているが、現在進行形の独裁とも言える国家形態中の指導者のモラルについて、道徳心・良心は西欧の拠り所・立脚点と乖離しているように見受けられる。
どの行動においてが普遍的なモラルとして判定できるのかについても分析して頂きたい。