著:エルンスト・H・ゴンブリッチ
訳:中山典夫
中公文庫(2022/10)
ISBN:9784122072770
ドイツ人が著した「物語としての世界史」の古典。
世界史を表題の様に読み物として平易に説いているのでするする読める。
数度にわたるイタリア遠征を行なったフリードリヒ1世の失敗の一因を「貨幣経済の有無」
イタリア:有り
ドイツ:無し
で説明しているのは、ウィキペディアでも見落としている視点。
視点が違うといえば、世界史の教科書では軽く触れられている人物が少なからずある。
・ルドルフ1世:ハプスブルク家の創始者
・サヴォア公オイゲン:オーストリア拡大に貢献した軍人
・スウェーデン王カール12世:ナポレオン以前のロシア進攻者
戦争の当時者は、
勝利をもたらすとされる命令には、たとえそれが人間の掟にそむくものであっても、したがわないといけない(p453)
という現在進行形の厳しい選択を迫られていることを想起する記述もある。
多くの民族が共に生きるこの小さな地球にあっては、お互いに尊敬しあうこと、お互いに寛容であること、そのこころを育てることが何よりも大切だ。(p458)