分水嶺の謎

―峠は海から生まれた-
著:高橋 雅紀
技術評論社(2023/09)
ISBN:9784297136970
著者は、「ブラタモリ」出演もした地質学の研究者。
本書籍の内容は、中国地方の分水嶺を東から西に地形図で辿りながら、従来の学説:デービスの河川の争奪説、に異を唱えた提言本。

だが、読書開始早々、p14から始まる複数の“三国岳”という地名で不明点が出てきた。
近傍には似た山(峠)が二つあるのだが、著者は混同している。
p14で著者が“三国岳”と記しているのは、正しくは「三国峠」みくにとうげ。
詳細説明を開始したp52以降、
・三国岳(776m)とあるのは、三国峠(776m)が正しい。

p56、別の三国岳(959m)が出てきました。
とある。ここの読みは、「さんごくだけ」である。
正しい地名と読み仮名振りがあれば、混乱は避けられた、と思う。

著者はp16で、“43インチモニタを駆使したヴァーチャルエア旅”を標榜しているが、現地不調査の難点がここに図らずも露呈しているところだと思う。

ま、最後まで読むと著者の言わんとするところは分かる。

願わくば、本書で示された「赤線」の分水嶺の連なりを「グーグルマップ」上に示した地図を公開されんことを望む。