著:ルイス・ダートネル
訳:東郷 えりか
河出書房新社(2024/08)
ISBN:9784309254722
著者は、「壮大な規模の歴史と現代世界の形成を異なったアングルから探ろうと試みた三部作の三巻目」p14及びp316
と位置付ける。
前2作共に、弊書評では既に取り上げている。
大変平易で読み易く、それでも一次資料に当たって正確さを担保していることが伺える。
例えば、p57の、「ユリウス・カエサル」のあだ名の由来について、
彼が禿頭であったことから、当時の人々は冗談でユリウスのことを、毛深いという意味で“カエサル”と呼んでいた。このあだ名が歴史のなかで残り続けた・・・
という興味深いエピソード。
ウィキペディアでは、このことをズバリと表現していない。
また、「カエサル 毛深い」で検索すると、
AI による概要
詳細
古代ローマの皇帝ガイウス・ユリウス・カエサル(紀元前100年-紀元前44年)が毛深いという記述は見つかりませんでした
というふうになにかあいまいで本質的な答えは得られない。
人間は、進化の過程で得られた特長を活かして文明を築いたが、その身体そのものはつぎはぎだらけの機能を以て何とか凌いできた。
脳は、不完全な情報の基に於いていくつもの決断を即座に下す必要がある。(p9)そのために採用されてきたのは、「認知バイアス」。
特に、「損失回避」の決断に於いて、交渉時の利益・譲歩・損失の各項目で、“今迄のことを無駄にするのか⇔したくない”と言う感情で、「停戦交渉」は大変難しくなり、指導者は首を掛けて望むことになってしまう。p300