著:上岡 伸雄
ハヤカワ新書(2025/02発売)
ISBN:9784153400399
巻末の「解説」で、
本書は、日本で刊行された初の本格的な「カーティス・ルメイ伝」として画期的な意義を有するもので、今後、ルメイに言及する場合には、まず本書が参照されることになるだろう(P278-9)
とある。
シルバースプーンを咥えて生まれなかったルメイは、苦学して大卒資格を得た。
その後も、実戦を通して戦略爆撃の実際手法を会得した結果が、東京大空襲を始めとする日本国土無差別爆撃であった。
軍で飛行技術を会得したルメイに対し、1931年に民間航空会社から航空隊の6倍の給料で就職勧誘があったが、彼は断っている。
太平洋戦争の歴史は、もしかしたら大きく変わっていたかもしれない。(p33)
その人物に日本は勲章を与えている。これでは、空襲で死んだ方々は浮かばれまい。
また、NHKの番組でルメイの子孫に(突撃)インタヴューし、当人はその場から逃げるように去っていった場面を見たことがある。
本人は如何にプラグマティズムの権化であっても、その末裔にはなかなか厳しいものがあるのが伺えた場面だった。