アルツハイマー病の一族

―病を受け継ぐ遺伝子と医師たちの闘い-
著:ジェニー・エリン・スミス
訳:黒木 章人
解説:下山 進
原書房(2025/09)
ISBN:9784562075638
コロンビアの山奥に、若年性アルツハイマー病が遺伝する一族が存在する。
あの良くない薬を密造しているギャング達の巣窟がここかしこに跋扈している国に。
若年性アルツハイマー病を撲滅するためには、多くの事例(脳)が必要とされ、そのための機関が設立され、学説で名を成したい医師が群がり、その周りにはできた薬を売りたい会社が金を出す構造。

若くして発病する仕組みが分からない現地の人々。宗教とか魔法とかの所為にしていたところに、説明会が設けられ、講演者は、
「頭の中に“生ごみ”が増えることで症状が出る。
 試験薬投与対象になっていただきたいことと当該病で死んだ人の「脳」を取り出して調べることが必要で、いくばくかのお金も包むことができる」。
と説明する。

かなり厳しい現地情勢下、著者は被疑一族に密着したレポートを作成することができた。

但し、世界的には正確さを欠くとこともあり、「解説」で、本書内容に対して、
アミロイドβ原因説の初論文は、コロンビア発ではなくDIANグループ
・神経原繊維変化の成分がタウであることをつきとめたのは、コ―シックではなく井原康夫
・レカネマブの治験・開発会社は、バイオジェンではなくエーザイ
というふうに、誤りを訂正している。
いずれにしても、粘り強く個人個人に寄り添ったノンフィクションではある。