何かの応募文

私は岡山県出身で、現在埼玉県に住まいしています。
40年程前(小学生の頃)、生産地に住んでいたからといって、マスカット・オブ・アレキサンドリアは、とても高価で、おいそれとは口に入る物ではありませんでした。
ブドウ栽培農家では、おやつで食べられるかとも思い、ある夏の日、その友達の家に遊びに行ってみました。

すると、ご両親とも葡萄畑の手入れとかでご不在で、彼ひとりでした。
彼は、木箱を、金槌と釘でトントンと作っていました。
当時、マスカット・オブ・アレキサンドリアの房を収納する器として、木板製の容れ物が主流だったのです。
「夏は、鍵っ子なんじゃあ。」
と言いながら、土間で器用に組み立てる彼の姿を見て、餓鬼であった自身を恥じたことを思い出しました。