水島港から見た船

祖父が生きていた頃、連れられて水島港(と思う)方面に行ったと記憶している。
尋ね人探しで、方々祖父が出会う人に聞いていたようなことをうっすら覚えている。
おそらく所期の首尾は得られなかったようで、風吹き暮れなずむ岸壁に佇んだ祖父の傍に立って海を見た。
沖に大きな船が停泊しており、煙突に「U」とあった。
それが黄金色の夕焼けを受けて大変印象深かった。
その後、小学校で作文の時間に、祖父に連れられて行った体験を書いた。
その中に、港の船の煙突にUの字があった、と書いた。
作文が返却された。
そこには「U」の字にバッテンが付き、「ひ」と直されていた。
子供心に、苦笑という表現を覚えた最初の機会であった。