ロビンソン・クルーソーを探して

著:高橋大輔
新潮社(1999年1月30日)
ロビンソン・クルーソー』(Robinson Crusoe)は、イギリスの小説家ダニエル・デフォーの小説。
この小説のモデル:アレキサンダー・セルカークが暮らしたマス・ア・ティエラ島(現:ロビンソン・クルーソー島)に実際に渡ってセルカークの暮らしを探求したのが、著者。
小説を読んだ後、モデルであるセルカークに興味を持ち、英国に出向き調査し、島で裏付け探検をした。
島自体は、その後の入植者が西欧の動植物を帰化させ固有種が危機に瀕するという、現代的な危機にもある。
初版後、著者は継続的に調査した結果、更に詳しくセルカークの生活を発表している。

なぜ、セルカークが島に渡ったのかというと、航海船上の勢力争いに敗れて強制的に下されてしまったからである。
その航海船団を組織したのは、あの「最新世界周航記」を著したウィリアム・ダンピアである。
ダンピアは、彼の本が有名になったおかげで2艘の私掠船(公認海賊船)船団を指揮することとなったが、残念ながら責任者の資質に欠けていたことから、配下の船員間の争いが起きてしまった結果、セルカークが追われたのである。
ロビンソン漂流記に影響されて「ガリバー旅行記」も執筆された。“ヤフー”なる言葉は、その中に出てくるジョナサン・スウィフトの造語である。
ガリバー旅行記」なかりせば、「Yahho!」サイトも存在しなかったことになる。
今に連なる一連の出来事の大本は、「ダンピア」の存在、ということになる。
本書では、ダンピアのことはさらりと触れられているだけだが、非常に興味深かった。