書評

生物と無生物のあいだ

著:福岡 伸一講談社現代新書(2007/05)ISBN:9784061498914著者は、昨今話題のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を着想してノーベル賞を獲得したキャリー・マリスの「マリス博士の奇想天外な人生」を訳している。当該書発行当時:2000年頃は、PCR検査?エッ何そ…

少年時代

著:安野光雅山川出版社(2015年4月)ISBN:97846341507202020年12月に身罷った理数系に造詣が深い画人。故郷津和野の夢見がちな少年が過ごした日々と、絵描きをめざした青年期の思い出。好奇心いっぱいの少年の心を思い出し描いた本。勉強について、数学者藤…

伊丹十三選集

一、日本人よ! 編者:松家仁之二、好きと嫌い 編者:中村好文三、日々是十三 編者:池内万平岩波書店(978-4-00-028118-8、978-4-00-028119-5、978-4-00-028120-1)独身時代『ヨーロッパ退屈日記』を読んで、世の中に一流人が存在することを知った。切り口…

遺言未満、

著:椎名 誠集英社(2020年12月)ISBN:9784087816938巻頭に、日高敏隆の著作中の言葉人間は自分がいつか死ぬ、ということを知っているが、その他の生物はそのことを知らない(p8)が紹介される。著者は、2013年に「ぼくがいま、死について思うこと」という書…

アフリカの白い呪術師

著:ライアル・ワトソン 訳:村田 惠子 河出書房新社(1983/3)ISBN:0039088060961「訳者あとがき」で、著者のことをオーソドックスな科学とオカルトの中間領域に位置するワトソン(p225)と評している。同著者の「生命潮流」の中にも、・テニスボールの内外…

発明は改造する、人類を。

著:アイニッサ・ラミレズ訳:安部 恵子柏書房(2021/07)ISBN:9784760153947近代から現代の各種発明は、関係者が残した各種資料渉猟により、人口に膾炙している表層から一歩踏み込んだ内容を描くことが可能になった。 クリスマスプレゼントは、ベッセマーの…

ネパール・チベット珍紀行

著:ピーター・サマヴィル・ラージ訳:大出 健心交社(1990/05)世界紀行冒険選書ISBN:9784883020058原題:To the Navel of the World(世界のヘソへの旅)1980年代(?)の“秘境”への旅行記。ニセビザでネパールからチベットに侵入し、ヒッチハイクをしなが…

シャーマンの弟子になった民族植物学者の話

著:マーク・プロトキン訳:屋代 通子築地書館(1999/09)ISBN:9784806711834/9784806711841南米アマゾン地帯の(所謂)インディオの生活に飛び込み、各種の有用植物の効能を現地のシャーマンから聞き出した作者の冒険譚。 上巻p75で、イギリスの偉大な生物学…

DARPA秘史

-世界を変えた「戦争の発明家たち」の光と闇-著:シャロン・ワインバーガー訳:千葉敏生光文社(2018年9月)ISBN 978-4-334-96223-4国防高等研究計画局:DARPAは、ARPAの時期にインターネットの原型であるARPANET及び現在の「GPS」の原型の考え方を開発した…

神父と頭蓋骨

―北京原人を発見した「異端者」と進化論の発展-著:アミール・D.アクゼル訳:林 大早川書房(2010/06)ISBN:9784152091390本来ならば、優秀な進化論科学者になっていた人物(ピエール・テイヤール・ド・シャルダン)が、物心付く頃に浸ってしまった信仰の軛…

フェルマーの最終定理

著:サイモン・シン訳:青木薫新潮文庫(2006/06)ISBN:9784102159712著者の本は、2016.2/10に「ビッグバン宇宙論」で紹介している。本書は、1995年にアンドリュー・ワイルズによって完全に証明された数学の金字塔を一般向けに解説している。理数系において…

世界のたね

-真理を探求する科学の物語-著:アイリック・ニュート訳:猪苗代英徳角川文庫(2016年08月)ISBN:9784044001582/9784044001599若年層向けの科学概略史。著者なりの解釈で、文庫本上下巻に統一感が良く表されている。指摘箇所1.上巻p88:麦わらを編んだ海図…

恐竜はなぜ鳥に進化したのか

―絶滅も進化も酸素濃度が決めた-著:ピーター・D・ウォード訳:垂水 雄二文春文庫(2010/10)商品コード 9784167651725原著の題名は、"Out of Yhin Air":「薄い大気の中から」で、訳者あとがきには[成句として、“何もないところから”という意味もある]と記…

生命の歴史は繰り返すのか?

―進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む-著:ジョナサン・B・ロソス訳:的場知之化学同人(2019/06)ISBN:9784759820072スティーヴン・ジェイ・グールドの「ワンダフルライフ」は、もう古典といっても過言ではないかもしれない。しかし、コーンウェイ・モリス…

脳のなかの幽霊

著:V・S・ラマチャンドラン/サンドラ・ブレイクスリー訳:山下 篤子角川文庫(2011年03月)ISBN:9784042982111人間の脳内の各箇所の不具合によって生じる各症例については、オリヴァー・サックスが多くの本を著している。本書は、インドの脳科学者が、ア…

神々の沈黙

―意識の誕生と文明の興亡-著:ジュリアン・ジェインズ訳:柴田 裕之紀伊國屋書店(2005/04)ISBN:9784314009782600頁を超える大著。人間は如何に「意識」を持ったのか? という疑問に筆者なりに解決策を提示した本。切り口としては、斬新な説得法だが、p142…

知ってるつもり

─無知の科学-著:スティーブン・スローマン/フィリップ・ファーンバック訳:土方 奈美早川書房(2018/04)ISBN:9784152097576世界は複雑なことは自明で、すべてを知ることなどとてもできない。個人が知っている情報はごくわずかであるというという意味におい…

ルーシーの膝

―人類進化のシナリオ-著:イブ・コパン訳:馬場 悠男/奈良 貴史紀伊國屋書店(2002/04)ISBN:9784314009102原著は、1999年発行なので、その後の発見等で人類進化の通説は変更されている部分もあるが、アウストラロピテクス・アファレンシスのかなりまとまっ…

観察力を磨く名画読解

著:エイミー・E.ハーマン訳:岡本 由香子早川書房(2016/10)ISBN:978-4-15-209642-5著者は、美術史家、弁護士。米国で、美術作品によって観察力・分析力を高めるためのセミナーを行っている。絵画鑑賞時に、ただ眺めるのでは無く、その中身の意味をバイア…

生物の中の悪魔

-「情報」で生命の謎を解く-著:ポール・デイヴィス訳:水谷淳SBクリエイティブ(2019.9)ISBN:978-4-8156-0159-1「マクスウェルの悪魔」という概念は、ミクロ領域で分子を一つ一つ対象にして運動を制御することができたら・・・という仮想の概念である。…

エピソードで読む 自動車を生んだ化学の歴史

著:井沢省吾秀和システムズ(2016/03)ISBN:9784798046372表紙の当該本の説明-自動車の誕生に貢献した化学を人物像とエピソード満載で図解-「化学」の進歩を「クルマ」という切り口で説明した本。「クルマ」にさほど興味がないまま、大きな自動車会社に入…

応仁の乱

―戦国時代を生んだ大乱-著:呉座 勇一中央公論新社中公新書(2016/10)ISBN:9784121024015著名本。教科書中の説明では、概要を説明することは難しく、日野富子に原因をおっ被せて、細川勝元と山名宗全が争い長期化した闘い・・・という記述だったように覚え…

文明

-西洋が覇権をとれた6つの真因-著:ニーアル・ファーガソン訳:仙名 紀勁草書房(2012年7月)ISBN:978-4-326-24840-7西洋文明の分析については、ジャレド・ダイアモンドの、「銃・病原菌・鉄」「文明崩壊」が先に世に出ていたので、本書でも言及されてい…

フンボルトの冒険

-自然という<生命の網>の発明-著:アンドレア・ウルフ訳:鍛原多惠子NHK出版(2017年01月)ISBN:978-4-14-081712-4フンボルトの伝記は、2014.12/31にも記している。 若い頃、南米に旅行し人間が自然に与える悪影響を見抜いた慧眼。欧州に帰って後の、革…

エネルギー400年史

-薪から石炭、石油、原子力、再生可能エネルギーまで-著:リチャード・ローズ訳:秋山 勝草思社(2019/07/23)ISBN:978-4-7942-2407-1エネルギーの形態を、「動力」「照明」「新しき火」の視点から、今迄知られていなかった人物にも光を当てつつ描いている。…

ファスト&スロー

-あなたの意思はどのように決まるか?-著:ダニエル・カーネマン訳:村井 章子ハヤカワ文庫 NFISBN:978-4-15-050410-6/978-4-15-050411-3本書は、人間の意思決定を「二重過程理論」で定義する。「二重」とは、脳内の情報処理や認識を司る二つのシステム…

骨が語る人類史

著:ブライアン・スウィーテク訳:大槻 敦子 原書房(2020/02/19)ISBN:9784562057245骨は「水酸化リン灰石で石灰化し、I型コラーゲンを含んでいる」(p11)内骨格動物の構造物質に過ぎない。進化の歴史から眺めると、バージェス頁岩のピカイアを始祖とした脊…

人体、なんでそうなった?

-余分な骨,使えない遺伝子,あえて危険を冒す脳-著:ネイサン・レンツ訳:久保 美代子 化学同人(2019/07/31)ISBN:9784759820102かつて、「アブラハムの宗教」の信奉者に対して、何故あなたは信じるのか? と尋ねたことがある。「世界中のあらゆるものが須…

図説 世界史を変えた数学

-発見とブレイクスルーの歴史-著:ロバート・スネデン訳:上原 ゆうこ 原書房(2019/05/28)ISBN:9784562056606数学は、素頭の良さを計る科目だが、実社会では数式にはとんとお目にかからないことでも抜きんでている。古今の数学者も、身近な計算から始まり…

この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた

著:ルイス・ダートネル訳:東郷 えりか河出書房新社(2018.09)ISBN:978-4-309-25325-1「僕らの知っていた世界は終わりを遂げた」・・・後、仮に生き残っていた人々に、再度、かつての(滅亡直前の)?繁栄した社会をどのように取り戻すことができるか、を解…