書評

世界のたね

-真理を探求する科学の物語-著:アイリック・ニュート訳:猪苗代英徳角川文庫(2016年08月)ISBN:9784044001582/9784044001599若年層向けの科学概略史。著者なりの解釈で、文庫本上下巻に統一感が良く表されている。指摘箇所1.上巻p88:麦わらを編んだ海図…

恐竜はなぜ鳥に進化したのか

―絶滅も進化も酸素濃度が決めた-著:ピーター・D・ウォード訳:垂水 雄二文春文庫(2010/10)商品コード 9784167651725原著の題名は、"Out of Yhin Air":「薄い大気の中から」で、訳者あとがきには[成句として、“何もないところから”という意味もある]と記…

生命の歴史は繰り返すのか?

―進化の偶然と必然のナゾに実験で挑む-著:ジョナサン・B・ロソス訳:的場知之化学同人(2019/06)ISBN:9784759820072スティーヴン・ジェイ・グールドの「ワンダフルライフ」は、もう古典といっても過言ではないかもしれない。しかし、コーンウェイ・モリス…

脳のなかの幽霊

著:V・S・ラマチャンドラン/サンドラ・ブレイクスリー訳:山下 篤子角川文庫(2011年03月)ISBN:9784042982111人間の脳内の各箇所の不具合によって生じる各症例については、オリヴァー・サックスが多くの本を著している。本書は、インドの脳科学者が、ア…

神々の沈黙

―意識の誕生と文明の興亡-著:ジュリアン・ジェインズ訳:柴田 裕之紀伊國屋書店(2005/04)ISBN:9784314009782600頁を超える大著。人間は如何に「意識」を持ったのか? という疑問に筆者なりに解決策を提示した本。切り口としては、斬新な説得法だが、p142…

知ってるつもり

─無知の科学-著:スティーブン・スローマン/フィリップ・ファーンバック訳:土方 奈美早川書房(2018/04)ISBN:9784152097576世界は複雑なことは自明で、すべてを知ることなどとてもできない。個人が知っている情報はごくわずかであるというという意味におい…

ルーシーの膝

―人類進化のシナリオ-著:イブ・コパン訳:馬場 悠男/奈良 貴史紀伊國屋書店(2002/04)ISBN:9784314009102原著は、1999年発行なので、その後の発見等で人類進化の通説は変更されている部分もあるが、アウストラロピテクス・アファレンシスのかなりまとまっ…

観察力を磨く名画読解

著:エイミー・E.ハーマン訳:岡本 由香子早川書房(2016/10)ISBN:978-4-15-209642-5著者は、美術史家、弁護士。米国で、美術作品によって観察力・分析力を高めるためのセミナーを行っている。絵画鑑賞時に、ただ眺めるのでは無く、その中身の意味をバイア…

生物の中の悪魔

-「情報」で生命の謎を解く-著:ポール・デイヴィス訳:水谷淳SBクリエイティブ(2019.9)ISBN:978-4-8156-0159-1「マクスウェルの悪魔」という概念は、ミクロ領域で分子を一つ一つ対象にして運動を制御することができたら・・・という仮想の概念である。…

エピソードで読む 自動車を生んだ化学の歴史

著:井沢省吾秀和システムズ(2016/03)ISBN:9784798046372表紙の当該本の説明-自動車の誕生に貢献した化学を人物像とエピソード満載で図解-「化学」の進歩を「クルマ」という切り口で説明した本。「クルマ」にさほど興味がないまま、大きな自動車会社に入…

応仁の乱

―戦国時代を生んだ大乱-著:呉座 勇一中央公論新社中公新書(2016/10)ISBN:9784121024015著名本。教科書中の説明では、概要を説明することは難しく、日野富子に原因をおっ被せて、細川勝元と山名宗全が争い長期化した闘い・・・という記述だったように覚え…

文明

-西洋が覇権をとれた6つの真因-著:ニーアル・ファーガソン訳:仙名 紀勁草書房(2012年7月)ISBN:978-4-326-24840-7西洋文明の分析については、ジャレド・ダイアモンドの、「銃・病原菌・鉄」「文明崩壊」が先に世に出ていたので、本書でも言及されてい…

フンボルトの冒険

-自然という<生命の網>の発明-著:アンドレア・ウルフ訳:鍛原多惠子NHK出版(2017年01月)ISBN:978-4-14-081712-4フンボルトの伝記は、2014.12/31にも記している。 若い頃、南米に旅行し人間が自然に与える悪影響を見抜いた慧眼。欧州に帰って後の、革…

エネルギー400年史

-薪から石炭、石油、原子力、再生可能エネルギーまで-著:リチャード・ローズ訳:秋山 勝草思社(2019/07/23)ISBN:978-4-7942-2407-1エネルギーの形態を、「動力」「照明」「新しき火」の視点から、今迄知られていなかった人物にも光を当てつつ描いている。…

ファスト&スロー

-あなたの意思はどのように決まるか?-著:ダニエル・カーネマン訳:村井 章子ハヤカワ文庫 NFISBN:978-4-15-050410-6/978-4-15-050411-3本書は、人間の意思決定を「二重過程理論」で定義する。「二重」とは、脳内の情報処理や認識を司る二つのシステム…

骨が語る人類史

著:ブライアン・スウィーテク訳:大槻 敦子 原書房(2020/02/19)ISBN:9784562057245骨は「水酸化リン灰石で石灰化し、I型コラーゲンを含んでいる」(p11)内骨格動物の構造物質に過ぎない。進化の歴史から眺めると、バージェス頁岩のピカイアを始祖とした脊…

人体、なんでそうなった?

-余分な骨,使えない遺伝子,あえて危険を冒す脳-著:ネイサン・レンツ訳:久保 美代子 化学同人(2019/07/31)ISBN:9784759820102かつて、「アブラハムの宗教」の信奉者に対して、何故あなたは信じるのか? と尋ねたことがある。「世界中のあらゆるものが須…

図説 世界史を変えた数学

-発見とブレイクスルーの歴史-著:ロバート・スネデン訳:上原 ゆうこ 原書房(2019/05/28)ISBN:9784562056606数学は、素頭の良さを計る科目だが、実社会では数式にはとんとお目にかからないことでも抜きんでている。古今の数学者も、身近な計算から始まり…

この世界が消えたあとの 科学文明のつくりかた

著:ルイス・ダートネル訳:東郷 えりか河出書房新社(2018.09)ISBN:978-4-309-25325-1「僕らの知っていた世界は終わりを遂げた」・・・後、仮に生き残っていた人々に、再度、かつての(滅亡直前の)?繁栄した社会をどのように取り戻すことができるか、を解…

アインシュタインの戦争

-相対論はいかにして国家主義に打ち克ったか-著:マシュー・スタンレー訳:水谷淳新潮社、2020年ISBN 978-4-10-507161-5第一次世界大戦当時のアインシュタインはポッと出の冴えない科学者で、難しい理論:特殊相対性理論を提唱していた。1919年に、英国のア…

探求

―エネルギーの世紀-著:ダニエル・ヤーギン訳:伏見 威蕃日本経済新聞出版社(2012年4月)ISBN:978-4-532-16831-5/978-4-532-16832-2「エネルギー」というものは実態がよく分からないまま日常消費しているもので、「エントロピーの法則」により、常時無駄に失…

シルクロード全史

―文明と欲望の十字路-著:ピーター・フランコパン 訳:須川 綾子 河出書房新社(2020.11)ISBN:978-4-309-22814-3/978-4-309-22815-0欧州からアジア間の交易路としての「シルクロード」についての歴史を語った書物。古くは信仰伝来、そして欧州の征服、石油確…

SHOE DOG(シュードッグ)

著:フィル・ナイト訳:大田黒 奉之東洋経済出版(2017年10月)ISBN:9784492046173言わずと知れた「ナイキ」の創業者が、当該社上場以前のことを語った本。1938年生まれ。オレゴン大学卒業。スタンフォード大学大学院でMBA取得。大学時代は陸上チームに所属。…

星屑から生まれた世界

―進化と元素をめぐる生命38億年史-著:ベンジャミン・マクファーランド訳:渡辺 正化学同人(2017/12)ISBN:978475981951938億年間の生命史を「化学」者の視点で解説した本。化学反応は、条件が整えば、「そのように」反応する。そこには「ランダム性」は…

道徳性の起源

―ボノボが教えてくれること-著:フランス・ドゥ・ヴァール訳:柴田 裕之紀伊國屋書店(2014/11)ISBN:9784314011259チンパンジーに似ているが別種であるボノボを通して、動物の道徳性ひいては宗教観までを論じた本。私たちは相変わらず社会における宗教の位…

キリン解剖記

著:郡司芽久ナツメ社発行:2019.07.04ISBN:9784816366796哺乳類は基本的に首の骨:頚椎の数は、7個で固定されている。キリンの首は長いが、一本一本の骨長が長くなっている。著者は、頚椎の背骨側に続く第一胸椎の可動性を検証し、あたかも8番目の頚椎のよ…

動物感覚

―アニマル・マインドを読み解く-著:テンプル・グランディン/キャサリン・ジョンソン訳:中尾 ゆかりNHK出版(2006/05)ISBN:9784140811153著者:テンプル・グランディンは、オリヴァー・サックスの著書:「火星の人類学者」で、自らの立ち位置をそのよ…

火星の人類学者

─脳神経科医と7人の奇妙な患者-著:オリヴァー・サックス訳:吉田 利子ハヤカワ文庫ISBN-10415050251X表題の「火星の人類学者」とは、自らを説明する自閉症の動物学者:テンプル・グランディンの言葉。このエピソードの他、・脳神経医の著者が会った全色覚…

さらば、神よ

─科学こそが道を作る-著:リチャード・ドーキンス訳:大田 直子早川書房ISBN:9784152099570刊行日:2020/07/16“神”の名において数多くの出来事があった。その多くは、寛容心無く「敵は異教徒」という名目の下に命を奪う戦争としてなされてきた。本書前半で…

左足をとりもどすまで

著:オリバー・サックス訳:金沢 泰子晶文社(1994/12)ISBN:4794925247オリヴァー・サックス著「道程」で、p267~p275間、著者がノルウェイで崖から落ち、大腿四頭筋断裂事故に遭遇したことが記されている。本書はその出来事の詳細版。自身医者なのだが、一…