書評

波紋と螺旋とフィボナッチ

著:近藤 滋角川ソフィア文庫(2019年03月23日)ISBN:9784044004590かの本庶 佑氏の下に研究していた著者が分かりやすく「科学」に対する学者の立ち位置を解説した本。自分の興味がある分野と携わる仕事の間に乖離がある場合、ある種の葛藤が生じるものだが、…

江戸時代のロビンソン

―七つの漂流譚-著:岩尾龍太郎 (新潮文庫)ISBN: 978-4-10-128621-1江戸時代には、嵐に遭遇した船乗りたちが数多く存在したと思われる。ほとんどの場合、不幸な最後を迎え、その記録が後世に残ることは無いのだが、僥倖という名に於いて、ごく少数の者が帰国…

紙の世界史

-歴史に突き動かされた技術-著:マーク・カーランスキー訳:川副智子徳間書店(2016年11月24日)ISBN:978-4-19-864296-9筆者は、本書中で「技術が社会を変えるのではなく、社会の方が社会の中で起こる変化に対応するために技術を発達させている」と度々述…

気候文明史

-世界を変えた8万年の攻防-著:田家康日経ビジネス文庫ISBN:978-4-532-16731-8地球気候と人間の文明の関連についての書籍は、2019.02/05に「古代文明と気候大変動」として紹介している。本書は、それと同じような内容をより詳細な資料と共に説く。ラスコー…

レオナルド・ダ・ヴィンチ

著:ウォルター・アイザックソン訳:土方 奈美出版社:文藝春秋(2019-03)ISBN:978-4-16-390999-8/978-4-16-391000-0著者は、スティーブ・ジョブズが是非本人の伝記を世に送り出して欲しいと依頼された人物。現存する約7,200頁の自筆ノートを全て読んだ上で、…

世界史を作ったライバルたち

著:アレクシス・ブレゼ、ヴァンサン・トレモレ・ド・ヴィレール訳:神田 順子、清水 珠代原書房(2019/03)ISBN:9784562056453上下巻の内、下巻の第15章スターリンとトロツキー〈同志〉たちの死闘第16章チャーチル対ヒトラー ライオン対鷲第17章ティトーとスター…

病の皇帝「がん」に挑む

-4000年の歴史-著:シッダールタ・ムカジー訳:田中 文早川書房(2016/06)ISBN:9784150504670/9784150504687一昔前、「がん」は不治の病であり、病院内では(患者に秘するために)キャンサー:CancerのCAをドイツ語読みした「ツェーアー」が隠語で用いられて…

ロケットガールの誕生

-コンピューターになった女性たち-著:ナタリア・ホルト訳:秋山文野 地人書館(2018.4)ISBN:978-4-8052-0923-3「コンピューター」という用語は、生きているほうと電気で動くほうp276の二通りがあり、「生きているほう」の計算手のことを「コンピューター…

〔ダイジェスト版〕オリバー・ストーンの「アメリカ史」講義

著:オリバー・ストーン、ピーター・カズニック訳:夏目 大ISBN:9784152096272早川書房(2016/07/22)以前、NHK-BS1のBS世界のドキュメンタリーで、「オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史」を見た。本書の内容は、ほぼその内容に準じている。書…

遺伝子

-親密なる人類史‐著:シッダールタ・ムカジー監修:仲野 徹訳:田中 文早川書房(2018.2)ISBN:9784152097316/9784152097323遺伝子の発見と応用に関わる歴史と現代の問題を筆者の個人的な一族の関連と絡めて語る良書。「二重らせん」モデル発見の経緯も、…

ビッグ・クエスチョン

- 〈人類の難問〉に答えよう-著:スティーヴン・ホーキング訳:青木薫NHK出版(2019/03/14)ISBN:978-4-14-081773-52018.03/14に惜しまれつつ世を去った科学者が最後に残した究極の問の答え、を我々に遺して下さった。〈10のビッグ・クエスチョン〉1 神…

地磁気の逆転

―地球最大の謎に挑んだ科学者たち、そして何が起こるのか-著:アランナ・ミッチェル訳:熊谷玲美光文社(2019/06)地球はそれ自体「磁石」となっていることは、今では常識となっている。ということは、過去は知られていなかった、ということである。それが「…

日本人はどこから来たのか?

日本人はどこから来たのか?著:海部陽介文藝春秋(2016.2)ホモサピエンスの日本への到達は、3ルートあった。特に著者は、南方からの沖縄ルートについて、実際に公開するプロジェクトを主催することを記している。p172これが、この度、「3万年前の航海 徹底…

古代文明に刻まれた宇宙

―天文考古学への招待-著:ジューリオ・マリ訳:上田 晴彦青土社(2017/7)興味をそそるキーワード「古代文明」「宇宙」「天文考古学」を持つ本書は、怪しい類の似非科学本ではない。古代人を統率するために必要な宗教観・権力など文化人類学の観点から、夜に…

我々はなぜ我々だけなのか

―アジアから消えた多様な「人類」たち-著:川端 裕人監修:海部 陽介講談社ブルーバックス(2017/12)昔、一時期、「♪ピテカントロプス・エレクトス、ぼくらの先祖はおさるさん♪」という歌が流行ったことがあった。それは、かつての呼称であって現在では、ジ…

進化論はいかに進化したか

進化論はいかに進化したか書評著:更科 功新潮選書 (2019/1/25)ダーウィンが、(創造論を信奉する)キリスト教しかないような社会の中で、「進化論」を発表したことは、革命に価するような常識破りなことであった。その頃は、現在の様なDNAを始めとする理論的…

雑学科学読本 身のまわりのすごい技術大百科

著:涌井 良幸 涌井 貞美KADOKAWA(2018.3)身近にある「便利なモノ」を総花的に紹介した本。中身の仕組を簡単に述べていて便利だが、3点ほど・・・p56、「電線は3本1セット」で、「三相交流という送電方式を採用しているから」とあるが、実際の各家庭への電…

人が自分をだます理由

―自己欺瞞の進化心理学-著:ケヴィン・シムラー,ロビン・ハンソン訳:大槻 敦子原書房(2019/03)原題は、「脳内の象」。象は、誰の頭の中にも存在しているが、「それを言っちゃーお終いよ」ということで、誰しもが目を背けている存在。本書は、その「象」…

生命、エネルギー、進化

著:ニック・レーン訳:斉藤隆央みすず書房(2016/11発売)著者の書籍は、専門書と紙一重で、叙述が深すぎて、理解できない箇所が多い。が、内容については、表題の最新動向を知らせて下さる。曰く、微生物の系統図についての最新図解(p15)所謂「原子スープ…

北槎聞略と漂巽紀畧

北槎聞略(ほくさぶんりゃく)は、桂川甫周が大黒屋光太夫らから聴取した内容などをもとに著した漂流記・地誌。漂巽紀略(ひょうそんきりゃく)は、河田小竜が、中浜万次郎から聴取した内容などをもとに著した漂流記・地誌。元伊勢の船頭光太夫は、1782年か…

宇宙へようこそ

宇宙へようこそ―宇宙物理学をめぐる旅-著: ニール・ドグラース・タイソン、マイケル・A・ストラウス、J・リチャード・ゴッド訳:松浦俊輔青土社(2018/1/26)宇宙物理学関係の書籍は、新しければ新しいほど、最新の知見が盛り込まれた内容になっている。本書…

陰謀の日本中世史

著:呉座 勇一角川新書(2018/03)対外貿易が赤字だから、関税を掛ければ、黒字化するだろう・・・と言う風に、世の中の出来事を単純化して考えることは、楽だ。しかし、現代社会では、各種の要素が相互に絡んでいるので、そんなに簡単に白黒を付けられるも…

辺境中国

-新疆、チベット、雲南、東北部を行く-著:デイヴィッド・アイマー訳:近藤 隆文白水社(2018/03)「中国の国境地帯でいま何が起きているのか? 英国のジャーナリストが、急速に進む漢化政策に抗い、翻弄される少数民族の実相を描く。」上記は、発行社の紹…

ホモデウス

-テクノロジーとサピエンスの未来-著:ユヴァル・ノア・ハラリ訳:柴田裕之河出書房新社 (2018/9/6)サピエンス全史が人類の過去の歴史を振り返る書物だったのに対し、本書は一気に人類の未来を分析する。その内容は、・なぜ人間の欲望は留まるところを知ら…

宇宙の「果て」になにがあるのか

-最新天文学が描く、時間と空間の終わり- 著:戸谷 友則 ブルーバックス新書 2018/7/18 宇宙の果てを定義するものについて、 ・空間的な地平線としての宇宙の果て ・観測可能な宇宙の果て のふたつ、があるそうだ。 著者は、過去の宇宙路の歴史から最新の宇…

明日をどこまで計算できるか?

-「予測する科学」の歴史と可能性-著:デイヴィッド・オレル訳:大田 直子、鍛原 多惠子、熊谷玲美、松井信彦早川書房(2010/1/22)科学史を振り返ることで、過去の科学者が如何に宇宙の仕組みを考え、未来予測に踏み出していったかを解説することから始まり…

古代文明と気候大変動

-人類の運命を変えた二万年史-著: ブライアン フェイガン訳:東郷 えりか河出文庫 (2008年6月)本書は、今から約18,000年前からの現在の時点で採取できたコア等の情報から、気候と文明との関係を説き明かしている。その時々の人類の生活の状況を、あたかも…

一四一七年、その一冊がすべてを変えた

著:スティーヴン・グリーンブラット訳:河野純治柏書房 (2012/11/1)原題:“The Swerve: How the World Became Modern”・・・「急速逸脱:いかにして世界は近代化したか」古代ギリシアでは、数多くの考え方を抑圧を受けずに著すことができた。デモクリトスに…

知の果てへの旅

著:マーカス・デュ・ソートイ訳:冨永 星新潮社(2018/04)原題:What We Cannot Know著者は、、オクスフォード大学に創設された、一般科学啓蒙のために創設された:シモニー教授職として、かの有名なリチャード・ドーキンスの後を引き継いだ人物である。分…

生物模倣

―自然界に学ぶイノベーションの現場から-著:アミーナ・カーン訳: 松浦 俊輔作品社 (2018/5/10)原題は、adaptで、原副題は、「いかにして人間は自然の秘密を利用してよりよい未来をデザインし、構築するか」となっている。「生物模倣」という言葉をググると…