宗教の起源

―私たちにはなぜ〈神〉が必要だったのか-
著:ロビン・ダンバー
訳:小田 哲
白揚社(2023年/10月)
ISBN:9784826902489

著者は、宗教について、
時とともに共同体が拡大していくなかで生じた社会結合の問題に対して、共同体レベルで見いだした解決策(中略)で、宗教の進化を支えているのは神秘志向である(p279)
と述べる。
それにより、
・参加により精神浄化作用を感じること
・エンドルフィン分泌による恍惚感
が得られることが大きい・・・と主張する。

世界宗教にまで拡大するには、
生まれた子どもを信者にすることが唯一にして最も重要な戦略だろう。(p270)
には、頷ける。

また主要な宗教は規模が大きくなるにつれて分派する傾向があるが、
教義の解釈について、内部にストレスが生じるため(p264)
と分析する。しかし、大部分の信者はそうした論争に無関心だ。彼らが関心を寄せるのは自身が支持するカリスマ指導者の見解と、「自分たちのいつものやりかた」だけだからである。(p264)
は、どこかの国の選挙戦のことを言っているようだ・・・

・極端な形の宗教心
陰謀論を唱える
・迫害されていると考える
となる一因として、「側頭葉てんかん」がある(p146及びP246)と述べる。
これは、脳神経外科医:オリヴァー・サックスが著している「側頭葉てんかん」保持者特有の“宗教的意識”発生の観点、からも興味深い考察である。