ビジュアル・シンカーの脳

―「絵」で考える人々の世界-
著:テンプル・グランディン
訳:中尾 ゆかり
NHK出版(2023/7)
ISBN:9784140819425
著者の本は、2020.10/14に「動物感覚」で、エピソードは2020.10/10にオリヴァー・サックスの「火星の人類学者」で取り上げている。
また、HBOでも彼女をモデルにした映画が製作されている(YouTubeで概要を知ることができる)

人間の思考プロセスについて、著者は、
・言語思考タイプ
・物体視覚思考タイプ
・空間視覚思考タイプ
に分類する。
そのタイプ百パーセントというのでは無く、夫々が組み合わさった中で各人の思考パターンを持つ。

子どもへの質問でいちばん役に立たないのは「おとなになったら何になりたいの?」だ。
(中略)もっとも役に立つのはが具体的質問だ。「特異なものは無ないかな?」は、子どもの関心を深める本当の出発点だ。(p90)

天才と言われる人びとの中には(中略)今の時代ならアスペルガー症候群自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、ディスレクシアなどと診断されそうな特質を示していた。(p164)
自閉スペクトラム症は単純なメンデルの法則に従っていいない。(中略)当該症に関係する遺伝子は、千くらいあると考えられている。(p191)

サヴァン症候群人には極端な能力がある。(中略)記憶の量は膨大だが、能力を発揮するのは狭い領域に限られる。(中略)知られているかぎりでは、サヴァン症候群の人が傑作を生み出したことはない。(p196)

著者の設計した動物屠殺場レイアウトは、全米で約半分ほどで採用されている。これを評して人は、
牛が大好きなのに、どうして食肉加工施設の設計ができるのか、とよく尋ねられる。人間は食料として家畜化した動物が幸せに暮らすことに責任をもたなければならないのだから、動物が苦しまないような加工施設設計したいのだと私は答える。(p259)

さて、盲目のピアニスト、と言えば「辻井伸行」と世間では思っている。
ところが同じような境遇に、マシュー・ウィテカーという人もいた・・・ことを知った。(p54)彼は、ジャズピアニストなのだが、お互いを知っているはずだろう。ふたりでセッションはしないのだろうか?

p238で、
腐りやすい食べ物から早く消費する性質は鳥でも持っている・・・と紹介したときに、
人間が戸棚より冷蔵庫にあるものから先に手をつけるのと同じだ。
とあるが、
人間が冷蔵庫より戸棚にあるものから先に手をつけるのと同じだ。
の間違いであろう。