動物感覚

―アニマル・マインドを読み解く-
著:テンプル・グランディン/キャサリン・ジョンソン
訳:中尾 ゆかり
NHK出版(2006/05)
ISBN:9784140811153
著者:テンプル・グランディンは、オリヴァー・サックスの著書:「火星の人類学者」で、自らの立ち位置をそのように説明した自閉症でありながら優秀な動物学者。
本書は、自閉症の人が自分の目で動物を観察し、自閉症であるがゆえに知り得たことを動物学者の立場から述べた点がユニークと言える。(p441)
動物と自閉症の人は、前頭葉皮質のはたらきが弱いことにより、ある種の専門化された能力がそなわっている(p349)
進化は恐怖の学習を頭にたたきこむことで、この問題を解決した。きわめて情動的な学習はすべて(中略)だから、1996年以前に生まれた人は、2001年の9月11日にどこにいたかをぜったいに忘れない。(p280)
動物と人間は「確証バイアス」と学者が呼ぶものを、生まれつき持っている(中略)確証バイアスが組みこまれているために生じる不都合は、根拠のない因果関係までたくさんつくっているしまうことだ。迷信とは、そういうものだ。(p135)

著者が因果関係を勘違いしていると思われるところ・・・
ホリーは、スイッチの入っていないラジオが受信している微小な送波を聞くことができる
という下り。
ラジオ局は複数あるので、「選局」をする必要がある。その機能はラジオ電源が入っていないと働かない。おそらく、近隣の「動作中のラジオの音声」を聞き取ることができる・・・ということであろう。

競り市で豚を盗んだ犯人がばれた仕組み(p148)の説明は、理解できなかった。