気候文明史

-世界を変えた8万年の攻防-
著:田家康
日経ビジネス文庫
ISBN:978-4-532-16731-8
地球気候と人間の文明の関連についての書籍は、2019.02/05に「古代文明と気候大変動」として紹介している。
本書は、それと同じような内容をより詳細な資料と共に説く。
ラスコー洞窟壁画等の先史時代芸術について、
森林の中で定住する生活が始まると、(中略)寒さをしのぎつつ大型哺乳動物を狩猟する機会の到来を祈っていた時代から、身の回りで食糧を確保する環境に変わったことが、当時の人々の心の在り方にも影響を与えたp78
ことにより、廃れていったとある。十分頷ける。
また、オホークツ海の流氷について、
アムール川などのアジア大陸の大河から塩分濃度の低い河川の水が流れ込むp84
ことにより形成されるという説明も理解できる。
現在の南米大陸の太平洋側での主要都市の多くが標高3000メートル以上に位置する理由について、
南米大陸の先住民は生活圏を選ぶ際に家畜の都合を優先して高地に住みついた。p101
についても疑問氷解。
また、
・なぜ南西アジアで現在豚が禁忌となっているか
・なぜ牛がインドで禁忌となっているか
の説明も、分かりやすい。p165,166