大気を変える錬金術

―ハーバー、ボッシュと化学の世紀-
著:トーマス・ヘイガー
訳:渡会 圭子
みすず書房 (2010/05/20 出版)
ISBN: 9784622075363
(以下数行は、ウィキペディアからの抜粋)
私たちの目の前には、無色透明で1cm2あたり約1kgの圧力を及ぼす空気が存在する。
そのうち、約8割が窒素分子である。
窒素(nitrogenナイトロジェン)は原子番号7の元素。元素記号はN。アミノ酸をはじめ、多くの生体物質中に含まれており、すべての生物にとって必須の元素である。
ほとんどの生物は大気中の窒素分子を利用することができず、微生物などが窒素固定によって作り出す窒素化合物を摂取することで体内に窒素原子を取り込んでいる。
 
その植物を育てるための肥料として、チッソ・リンサン・カリの三要素は、現在の農業には不可欠であり、化学合成技術なかりせば、今の飽食の時代は到来しなかったと言って良い。
空気から窒素化合物(アンモニア)を作ることにより、肥料、就中爆薬の原料として人間文明の光と影に多大な寄与そしたのが、「ハーバー・ボッシュ法」である。
ドイツはアンモニアを作れたから世界大戦を仕掛けることができた、ことは世界史余話程度には知っていたが、その裏にはナチス等との壮絶な物語があった、ということを著して余りが無い。
南米での硝石を巡る争奪戦等の物語は、原作者の力量を伺わせるが、アンモニア合成等の技術的な内容を述べる部位では、ところどころ意味不明が部位があった。
p93、最終行:ノルスク・ハイドロ社がいくつもの滝を買い、・・・云々
書名は、原著名の意を汲み「空気の錬金術」または「大気を食物に変える錬金術」の方がよかったのではないか。