サルは大西洋を渡った

−奇跡的な航海が生んだ進化史-
著:アラン・デケイロス
訳: 柴田裕之、林美佐
みすず書房,2017年11月
ISBN:9784622086499
著者は、ラテン系の名字だが、アジア(日)系の血筋を引いている。
題名が暗示し、副題が示すように、地球進化史規模の長年月で生物種がどのように進出・絶滅したのかを説明することを試みた本。
「進化」を唱えたダーウィンだが、当時の環境下では、十分な進化の証拠を揃えることができず、種子が海洋を横断することの可否実験までしている。
確かに大陸・島嶼を隔てて類似の種が生息していることは確認できたのだが、
では「何故か?」をどのように説明するかで、過去の学者・学説が百家争鳴の様相を呈していた。
自らの考え方以外のものに対して、頭から否定する態度をとることは、人間として備わった特性であり、各種の証拠・考察をもってして、普遍的な知見に収斂していく。
今では、当然の知識となっているプレートテクトニクスにおいても、1912年に、ドイツのアルフレート・ヴェーゲナーが提唱した頃は、大陸移動のメカニズムの説明がつかず、嘲笑された。
本書によると、学会で認められ学説として定着したのは、1966年とある。
あの東京オリンピック開催年の頃はまだ“仮説”だったとは・・・
サントメ島、プリンシペ島に両生類が漂着する件の描写は、大変興味深い。
p358に惑星逆行運動観察には数日で可能、とある。
ウィキペディアでも記載あるが、逆行の全体期間を確認するためには数か月必要ではないかと思う。