科学はなぜわかりにくいのか

―現代科学の方法論を理解する-
著:吉田伸夫
知の扉シリーズ
技術評論社(2018/04発売)
科学史」の講義の題材に「恐竜絶滅の小惑星衝突説」を取り上げ、その学説が如何に科学界から一般知識として落とし込まれていった経過を口切りに、我々が「科学」に対してどのように対すればよいのか、を説いた本。
何故「恐竜が絶滅したのか」については、古くから諸説があったが、
1980年にウォルター・アルヴァレズら4人がアメリカの科学誌Scienceに連名で発表した論文「白亜紀-第三紀絶滅を引き起こした地球外の原因」は、恐竜絶滅に関する論争に決定的な影響を及ぼ(p16)
したことを発表し、それ以来数多くの科学者の後続研究で現在では主力説となった。
科学の手法としては、この「後続研究」が重ねられることが大切であり、後続者が居ない“孤高の科学”は廃却される。
一般人が「科学」に対して「わかりやすさ」を求めるとき、提唱者がどのような意図でそれを言うのか・・・を判別する自主性が問われる。
白亜紀以外の地球史の絶滅を説明するものとして、「銀河面に対する太陽系の傾き」説:デイヴィッド・M. ラウプ・・・は定説となるには至らなかった(p37)とある。