ネアンデルタール

著:レベッカ・ウラッグ・サイクス
訳:野中 香方子
筑摩書房(2022/10)
ISBN:9784480860941
ネアンデルタール人は、四万年前に姿を消した。(p571)
あなたがラスコーの壁にオーカーが塗られた時代(1万5千年前)までの二倍の年月をさかのぼれば、最後のネアンデルタール人に近づき、その年月の二〇倍をさかのぼれば、最初のネアンデルタール人に行き着く。(p548)
二〇万年以来、ネアンデルタール人ホモ・サピエンスとの間に赤ちゃんが生まれた時期が少なくとも三回、多ければ六回あったと言える(p496)
副葬品はネアンデルタール人の遺跡では見つかっていない(p474)
シャニダール洞窟については、ネアンデルタール人の墓に弔いの花が供えられていたという説(中略)は否定され、花粉は自然に蓄積したと考えられている。(p450)
ネアンデルタール人が美意識と象徴の概念を持っていたという証拠は完全に揃った。(p400)
ネアンデルタール人は自然界で火を拾っていたのか、それとも火を起こしていたのかについては、まだ答えが出ていない。(p274)
化石になったのは、かつて生きたネアンデルタール人の0.01パーセントにも満たない(p68)
彼らの脳が大きく見えたのは、実は標本の性別の偏りのせいだったことがわかった。(p67)
等々、最新の研究結果が山盛りだが、(何故ネアンデルタール人は絶滅したか等の)分からないことは、(現状)分からない、と科学的な現在の知見を述べる。

ホモ・サピエンスも絶滅する可能性があることに思いを巡らさないといけないことに気づかされる本。