世界地図が語る12の歴史物語

著:ジェリー・ブロトン
訳:西澤 正明
バジリコ(2015/10発売)
ウェブ広告の内容説明
ISBN:9784862382238
権力、偏見、信仰、欲望、科学、情報。プトレマイオスの『地理学』からグーグルアースまで、十二点の世界地図を媒介にして読み解かれる文明史の実相。知的興奮を喚起してやまない労作の完全翻訳刊行。
第1章から第4章までは、はっきり言って読むのが苦痛であったことを白状する。
しかし、第5章:マルティン・ヴァルトゼーミュラーの世界全図から俄然面白くなる。
米国議会図書館が、2003年に1000万ドルで購入した、アメリゴ・ヴェスプッチによる1507年の「(南)アメリカ」大陸の発見を記した地図、よりも古い1506年製作の版が存在する・・・というのだから。
米国議会図書館は、1507年版所得がよほど嬉しかったらしく、(記念?)出版までしている。(2009.11/27に、書評掲載)
ヴァルトゼーミュラーにしても、一度AMERICAと表記した後の1513年に、TERRA INCOGNITA(未知の土地)としたものを出している。
本書の結論では、
アメリカの起源や地図同士での時系列的な優位性を明らかにすることは妄想にすぎない(中略)『世界全図』をアメリカの姿と名前を正しく記した「最初」の地図と呼べるのかどうか、確かなことはおそらくわからないであろう(p222〜223)
ということらしい。
 
第12章で、地球を、
1970年代にNASAが初めて宇宙から撮影した(p485)
のは、アポロ17号・・とあるが、誤りである。
1968年、アポロ8号である。
このことはウィキペディアにもある。
もっとも筆者の名誉のために付け加えると、アポロ17号撮影写真は、
「ザ・ブルー・マーブル」宇宙飛行士が太陽を背に撮影した、完全に輝く地球を捉えた数少ない写真の一つでもある。(ウィキペディア
とされている。