最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか

著:ジェームズ・R.チャイルズ
訳:高橋 健次
草思社 (2006/10/26 出版)
ISBN: 9784794215383
過去の巨大事故の発生原因を紹介し、そのメカニズムを解析し、解決策を探る本。
本書は数多くのシステム事故を取り上げている。
数が多いため、それぞれの発生原因の詳細記述が薄い感がある。
参考のため、略図があるが、簡易なためよく分からないところが散見される。
最初の、「オーシャンレンジャー号」の図p33は、概略すぎて、
・最初に風雨で割れた風防蓋がどこにあるのかが不明
・救命ボートの位置が不明
・事故発生時の海水(喫水)面の位置が不明
等、よく理解できない部分があった。
さらに、p263のアポロ13号機械船の第二酸素タンクの図。
地上での事前作業時に発生したタンク内部の「注入管」がその図内に描かれていないため、どこがどのように悪かったが、不明である。(注入ライン・通気管のことか?)
また、その「注入管」は何を注入するのか明記されていないので、何度も読み返さないと理解できない(「酸素ガス注入管」と理解したが・・・)
では、そもそもの液体酸素注入(管)はどこにあるのか・・・?
また、p315で、
「大気と天然ガスからアンモニアと作りだした」
とあるが、ドイツのハーバー・ボッシュ法の説明として、2010.8/24の「大気を変える錬金術」では、空気中の窒素ガスを触媒で分離し窒素化合物(アンモニア)を生成した、とされている。
少々、正確性を欠く記述ではないだろうか。