模倣社会

―忍び寄る模倣品犯罪の恐怖-
著:パット・チョート
訳:橋本碩也
税務経理協会
2006/10/20出版
ISBN:9784419047269
米国人が書いた、米国がいかに知的財産権を侵されているかを書いた本。
米国の特許に関する歴史的な経緯とか、議会内外での内幕をよくぞここまでと思えるほど描写する。
米国には何故テレビ製造会社がゼニス社しか残らなかったのか・・・日本がどんどん輸出したから。
新興国が、知的財産を取り込みんだ製品を輸出し豊かになると、次に控える国が知的財産を食い物にして成り上がっていく。
一度技術を相手に渡すと、相手はそれをリヴァースエンジニアリングで技術力を向上させ、第三国にあたかも自国のテクノロジのように装って(より安く)売り込んでいく。
TPPには、知的財産権について担保するための条項があると聞く。重視しない国に対する備えと思われる。
アレグザンダー・グラハム・ベルの電話発明に関わる特許取得及び特許権防衛の経緯も(ウィキペディアとは相違するところがあり)興味があるところだ。
英語を日本語で表記するときの課題が、本書に見える。
p1「ビリー・マーチンズ・タバン」は、billy martin's tavern
#JFKがJackieにプロポーズした店らしい。
日本であまり知られてなくカタカナが浸透していない場合は、「ビリー・マーティンズ・タヴァン」のように、より言語に近い表現の方が良いのではないか。
p7「エアホース2」は頂けない。書中、同機はアメリカ副大統領や政府高官用の航空機である。とあるが、大統領搭乗機としては「エアフォースワン」が通称となっている。
「エアフォース2」にしなければ。
p238「ドイツの光学機器メーカーであるツワイスは、」
その会社は、一般的に「カールツァイス」として知られている。当該社もそのように自称している固有名詞なので、何故このような間が抜けたような表現になったのか。
p116から始まる彼の発明王エジソン」の物語。
ウィキペディアでは、
日本では長らく「エジソン」という表記が定着していたが、近年は "di"を意識して「エディソン」「エディスン」と表記する場合もある。
とある。
「ジ」と「ディ」では、かつて「ジーゼル」という表記もあったが最近では「ディーゼル」が定着しているように、彼の苗字も「エディソン」に持っていく方向が良いのではないかと思う。
電球の口金の口径を、E26とかE17 とか言うが、その「E」は、EdisonのEなのだ。
p107で、堂々たるコーリス蒸気機関車
とあるが、
https://en.wikipedia.org/wiki/Corliss_steam_engine
では、巨大な蒸気機関のように見える。機関車ではないようだ。
http://expomuseum.com/1876/
によると、当時使用された機関車は、John Bull型と思われる。