アメリカの鏡・日本

著:ヘレン・ミアーズ
訳:伊藤 延司
抄訳版 (角川oneテーマ21) 新書 2005/6/1
ISBN 4-04-651968-1
「占領が終わらなければ、日本人は、この本を日本語で読むことはできない。」
ダグラス・マッカーサー− p3
米国からしたら、太平洋を介して地球の裏側にある、日本。
資源を持っていない国が強大になろうとしたら、海外に植民地を求める外はない・・・という短絡した考えを持った。
当時、欧州でも多くの国が植民地を持ち資源を収奪していたモデルがあることから、それに倣った。
そうする中で、日本と各々の国が進出した先で、権益争いが発生した。
米国と日本の国力の差異は、当時、比較にならないほどであった。
日本の軍部は、短期決戦を唱えつつ、戦争に突入した。
4年後、ほぼ当初シナリオとおり、日本は敗戦した。
米国は、戦前の日本のイメージを、米国内向けプロパガンダ用に脚色していた。
著者は、豊富な資料を基に、実際に日本に赴き、当時の、実相を分析する。
歴史は、勝者が語るもので、敗者が語るものではない。
戦後の日本は、語るべき歴史が紡げないまま現在に至っている。
そのような悪夢から覚めるためには、もう一度、賽を振って勝ち組になる必要がある・・・という考え方が底流にあるかもしれない。
しかし、歴史に"もしも"は、無い。敗戦は事実なのだ。
現状を受け入れて、少しでもより良い国際関係を築いていかなければ、資源小国日本の今後の生きる道はない。