誰が音楽をタダにした?

―巨大産業をぶっ潰した男たち-
著:スティーヴン・ウィット
訳:関 美和
早川文庫(2018/3)
ISBN:9784150505189
音楽は、レコード盤で一般化したが、持ち運びに難があった。
この欠点を克服するために、コンパクトカセット、CD、MD、MP3、ストリーミングと媒体が変化してきた。
本書は、MP3という技術開発に伴い、CDリッピング技法が海賊版サイトの隆盛を招き、著作権という権力をどのようにしのぎを削っていったか・・・を当時の当事者に取材して著した本。
「MP3」は「MP2」の次に開発された・・・ウィキペディアにそのような記述がある。
本書p37で、MP2とMP3は1991年4月のMPEG規格委員会で同時に命名されたとある。
フィリップスが後ろ盾のMP2は、政治力を発揮して、一旦MP3はベータマックスになってしまった。(p42)

虚心坦懐に比較した結果、MP3の優位性が理解されて小型MP3プレーヤが発売された。
ダイアモンド・マルチメディア・システムズのMPMan(1998/9)である。
著作権が灰色だが、圧倒的なデータ圧縮能力を示し、2001年11月にアップルからiPodが世に出てその後の世界は皆様よくご存じの通り。
SONYは、DRMに拘ったことでカセットウオークマン以降MP3プレーヤの世界で後塵を拝することとなった。

特に本書は、米国内で正規発売CDリリース以前にネットに公開されたリッピングデータの版元と摘発及びその後・・・ついて知られていなかった内容満載で、一気に読ませる。