現代語訳 学問のすすめ

著:福澤 諭吉
訳:齋藤 孝
筑摩書房ちくま新書(2009/02)
ISBN:9784480064707
誰でも知っている、「学問のすすめ
紙幣に肖像が描かれる程の著名人が著したが、ほとんどの人が“読んだ事は無い”筈。

青空文庫では、
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。されば天より人を生ずるには、万人は万人みな同じ位にして、生まれながら貴賤《きせん》上下の差別なく、万物の霊たる身と心との働きをもって天地の間にあるよろずの物を資《と》り、もって衣食住の用を達し、自由自在、互いに人の妨げをなさずしておのおの安楽にこの世を渡らしめ給うの趣意なり。
とある。読みずらい。本書では・・・
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言われている。
つまり、天が人を生み出すに当たっては、人はみな同じ権理(権利)を持ち、生まれによる身分の上下はなく、万物の霊長たる人としての身体と心を働かせて、この世界のいろいろな物を利用し、衣食住の必要を満たし、自由自在に、また互いに人の邪魔をしないで、それぞれが安楽にこの世をすごしていけるようにしてくれているということだ。(p9)
と言う風に、甚だ分かりやすく現代語訳が為されている。

これは、良い本。
今迄、知らないでいたのが悔しいほど。
明治時代にこのような考え方の人が居たとは、俄かには信じがたい。

個人と社会の基本的な対峙方法とか、学問に対する考え方とか、品格・実行力の付け方とか、金言に溢れている。

若しも、若い頃に本書が上梓されていた為らば、著者創設大学志望をしていたであろう・・・とも思わせた一冊である。