ブラッドランド

ヒトラースターリン 大虐殺の真実-
著:ティモシー・スナイダー
訳:布施 由紀子
筑摩書房(2022/10)
ISBN:9784480511447/9784480511454
ヒトラースターリンの二人が及ぼした(悪)影響を最も強く受けた流血地帯:ブラッドランド・・・大虐殺、の実体を著した歴史本。
「ブラッドランド」とは、
現在のロシア連邦西端部とサンクトペテルブルクポーランドのほぼ全土、バルト諸国、ベラルーシウクライナにあたる。(下巻p242)

読み進むに連れて胸糞が悪くなるほどの殺戮の連続。

有名なアウシュヴィッツ強制収容所でも、ホロコーストの一部でしかないことが説明される。そこは種々の理由が重なった結果名が広まり、そこだけではない場所で更に大量殺害が行われていたことが縷々説明される。

死の記憶と絶えず繰り返される再解釈とのあいだに、歴史の目的がある。大量殺人の体系的記録だけが、数と記憶を統合できる。歴史が無ければ記憶は私的な領域に留まる(下巻p267)

殺されないためには“体制側”即ち“殺す側”になるしか無かっただろう。
フルシュチョフがスターリン批判をしたときに、周りの人から「その当時、あなたは何をしていたのか?」と問われた、と聞く。
スターリンの意に添わなければ粛清される運命であった時、生き残る手段としての人々の選択は、取り敢えず首をすくめておいた・・・というところか。

名目的な共和主義の中身に(実は)マスコミによる教条主義の吹き込み:思考停止、に至らないよう注意しなければならない。