我が人生

ミハイル・ゴルバチョフ自伝-
著:ミハイル・ゴルバチョフ
訳:副島 英樹 
東京堂出版(2022/07)
ISBN:9784490210675
2022年8月30日に逝去されたソビエト連邦の最後の最高指導者の自伝。
葬儀に際して、国葬は行われなかったし、現大統領も出席しなかった。
歴史的に見て、ゴルバチョフ氏が書記長になった時は、一党独裁が立ち行かなくなった瀬戸際だった。

スターリンが、ホロドモールで引き起こしたウクライナ東部の荒廃時に多くのロシア系の人々が空家同然となった耕地に入植した経緯があるので、侵攻当初ロシアはウクライナ隣接州に比較的容易く特別軍事作戦を立てることができたのであろう。

スターリン批判をしたフルシチョフが失脚した原因について、
体制を批判することは体制の存在を脅かすことになり(中略)「あの当時、あなたはいったいどこにいたのか?」と問い詰められる(p106)
という声が出て完全なる清算が付けられなかった経緯が尾を引いて、現在の“なんちゃって投票”のような見せかけ民主主義に至ったのではないか・・・と思う。

ペレストロイカで一般大衆が迷惑を蒙った件も、
禁酒キャンペーンをめぐる計算違いもあった(p291)
と触れている。

ゴルバチョフは、政治的権限以外に武力は用いなかった。
権力を維持するために武力を行使するなら、それはもはやゴルバチョフではないだろう。(p540)
ソ連崩壊によりペレストロイカは中断した。(p540)
しかし、ペレストロイカ無くしては歴史的にソ連という国はもっと酷い状態に陥っていたと確信する。